イタリアでポルチーニ暴れ喰い

山間の一軒家レストラン

神谷シェフから何度か聞いていた、キノコ料理の名店「Ristorante Ca’ Mea」という店へ連れて行ってもらえる事になった。フランス国境を超えてイタリアに入り、サンレモから北上した「バダルコ」という辺鄙な場所にある。飛び上がって天井を突き抜けるくらいに嬉しいのである。

ニース近辺の調理人仲間で突撃

当日は、HANgoutがバカンスに入る前夜祭として、店のスタッフやニース近郊日本人フレンズ大集合で、なんと総勢12人!何台もの車に分けて店に到着した。ニースからは小1時間といったところか。周りには何もない田舎の国道沿いなのに、一年中満席という事は美味しいに決まってる。イタリアだしな(重要)

「Ristorante Ca’ Mea」
Via Colombo Cristoforo 38, 18010 Badalucco, Italy

ちなみに、私は見なかったが駐車場に大きなキノコのオブジェがあるらしい。(下はGooglemap)

同乗のフランス人女性が「東京にああいう祭りがあるよね!ピンクの×●□がお神輿になってて…」と興奮している。たぶん「かなまら祭(良い子はググっちゃいけません)」の事を言っているんだろうが、なぜそんなマイナーな奇祭を知っているのだフランス人めw

薪が暖炉で燃える素敵なお店

店はレンガ造りの一軒家。入ると暖炉に薪が燃えている。10月末だというのに欧州の夜は滅法冷えるので、ふわっとした温かさが心地よかった。比較的早い時間のせいか、半分ほどの客入りだったが、すぐに地元の人々で満席になった。

この店は年間を通じてキノコ料理を提供しており、この時期のお目当ては何といっても「ポルチーニ」!フランス語で言うとセップである。

wikiより

イタリア語で porcino (ポルチーノ)と言い、語義は「子豚」である。複数形で porcini (ポルチーニ)と言い、英語名の porcini (ポーチーニ[1])や日本語名「ポルチーニ」はこれに由来する。なお、英語圏や日本語圏では、フランス語名 cèpe (セップ)でも知られている。ドイツ語ではシュタインピルツ(Steinpilz、〈石キノコ〉)と呼ばれる。これは肉がしまっていて石のようにかたいことからつけられた名である。

日本では乾燥したものが高級食材として売られているが、旬の時期の欧州なら、貴重な生ポルチーニが味わえる。いい時に来ちゃったアタシ!

前菜だけでお腹いっぱいになりそう

料理はイタリア式に大皿で運ばれ、取り分けて食べる。水もワインもどんどん出てきて、全部料金に含まれるそうだ。取りあえず出てきた順番に写真とレビューを。

めっちゃ空腹、やる気満々でスタート

わくわくするなー。全部おいしそう!あんまり食べる余裕なかったけど、このパンもなかなか。ワインはロゼなのか赤なのかよくわからなが美味い(本気で余裕がないw)

前菜3種の盛り合わせ、美味い!

まずは、前菜3種をそれぞれの皿に。左側が、稀少なたまご茸のフレッシュが乗った「ビーフのタルタル」。うはー、これうまい!「これもポルチーニに並ぶ高級食材よ」と神谷シェフ。

ほうほう!初めて食べたけど、すごく繊細で淡い香り。赤身の牛肉のさっぱりしたコクと、オリーブオイルでさらっと味付けされた、スターターにふさわしい軽い一品。そして、カリカリふんわりの「ワカサギフリット」、甘々のトマトが山盛りの「ブルスケッタ」、見たままうまい。トマトの甘さはんぱない。

こんなリコッタチーズ食べたことない

次に「リコッタチーズ」が来た。これ、日本で食べていたリコッタチーズって何だったの、と思える素晴らしい風味。まったくしつこさはないのに、スプーンで口に入れるとミルクの濃厚な香りがぱ~~っと広がる。そして一瞬で溶けてなくなる。

こういうのを欧州で食べて覚えると、日本で売ってるチーズが買えなくなる。後のが入らなくなるからと思ったが、やはりちょっとおかわりしてしまった。本当に美味しかった。

いよいよポル様、まずはオムレツ

そして、感動に浸る間もなく、やってきた「ポルチーニのオムレツ」。ふわふわ系ではなく、スペインのパエージャみたいなしっかり系。

ああもう、美味しくないわけないでしょう。卵とポルチーニよ。とろっとまろやかで、噛むとポルチーニのジュースが溢れて、かすかに加えられたハーブがいい仕事をしている。

ちなみに味付けはさっきの前菜も含めて非常に薄味。素材にちょっと手を入れただけの、素朴な味付けなので日本人にも食べやすい。まだ料理がどんどんくる。もっと食べたいけど後があるからガマン・・・

グラタン、パスタと続々登場

と思ってたら「ポルチーニとポテトのグラタン」が来て、これはおかわりして食べた。きのこの汁を吸った芋の、破壊級の旨さよ!これはズルい(笑)

ポテトは生のを厚めのスライスにして、ちょっと焦げ目がついてたりして、香ばしくてジューシーでああん、もう♡ バターじゃなくてオリーブオイルだから、あっさりしてるのかな。

続いて「ポルチーニのパスタ」。「ボーニッシモ!(最高)」の声があちこちから起こる絶品。麺は自家製の手打ちに違いない、タリアテレ?(平打ち麺)。なんとも豪快な弾力で、イタリアでは生麺でもここまでアルデンテにこだわるかと、もちもちカミカミしながら思った。ソースは軽いオイルがベースで、ほんのり塩味。これもポルチーニの味と香りにまみれて、見た目は思い切り地味だがとんでもない一皿。

炒め物、ご飯ものと刺客が続く

こちらは、ポルチーニのガーリック炒め。えのきやしめじも、オリーブオイルで炒めると最高にうまいけど、ポルチーニの生だよ、うまくないわけないよ。

想像通りの味。ハーブが程よく散らされて、ジューシー極まりない。そしてオイルの香りの良いこと!にんにくも、どっさり入ってるけど甘味があって最高。この、素材勝負のシンプルさが、イタリアンの神髄なんだろうな。

そして、ほぼ満腹なのに丼でいけそうな「ポルチーニのリゾット」。なんだろう、味付けは少しクリーム入ってて白ワイン?どうでもいいけど、うまいわこれ。触感がね、粒々シャキッとしてるの。日本の雑炊とは全く別の米料理。わずかに芯が残って、これもアルデンテにこだわっている。

チーズというキラーアイテム、まだ前菜w

リゾットで少しリラックスした舌に、また強烈な刺客が襲ってきた。濃厚なコクの「ポルチーニのチーズ焼き」。小さな一切れをいただいたけど、フォークを顔のそばに持ってきただけで、ぐわーっとチーズの香りに包まれる。

香ばしく、濃厚でミルキー。それでいてポルチーニがチーズに負けてない。強烈な素材ありきの料理なんだな。こりゃ参る。

さあ、ここからがセコンドピアット

ほんと、もうここまでで日本人的にはフルコース食べ終わった感があるが、イタリア的にはアンティパストとプリモピアット。ここからがいよいよセコンド(主菜)、肉たちの登場である。死ぬ気で食べるよ、うまいから!

ここからは肉祭りに突入

じゃーん、骨付きキタ!この骨周りがたまらない子羊のロースト。

まあ柔らかく、クセがなく、いい味で仕上がってるわ~。これ空腹なら3ついける。すごくシンプルで力強い、はっきりした肉料理。

そして、炭の香りがそそる「ビステッカ」。キッチンにガンガン炭火が燃えていて、でかい肉を豪快におっちゃんが焼いていた。まずいわけがない、肉はこうして食べるのが一番なのだ。焼き具合はビヤンキュイ。私の好みからすると焼きすぎだけど、この炭火ビステッカはこれでいい。

とどめはポルチーニのフライ!

そして~~~、今夜の王様!「ポルチーニのフライ」登場!!

山盛り!生ポルチーニが山盛り!ビバ、イタリア!!!味は説明するまでもない。リモーネをさっと絞って、ヤケドしそうな熱々をぱくっ、サクッ、じゅわ~♡♡♡お腹はちきれそうだけど、これは美味しいぃぃぃぃぃぃ(発狂)

デザートまでしっかり食べつくす

どれだけ食べようが、必ずデザートまで食べるのが欧州人。でかいボウルがどーんと置かれた。そしてフルーツの皿もついてくる。

この「ベリーとジェラート」で各自パフェ的なものを作っていただくようだ。ジェラートは二種類あった。白っぽい方はリモーネ。ここらはレモンの産地である。香りが強くて美味しい。洋酒もたっぷり。黄色い方はバニラ系。ミルキーでやさしいママの味。酸っぱいベリーにこれがまたよく合う。ぺろっと食べた。

えっ、ドルチェが2つも来たよw

そしたら二つ目のドルチェ来た。鍋に入ったティラミス(笑)たぶんこの時点で1万カロリーは突破していると思うのだが!

でも、もちろん食べるさ。めっちゃ美味しいよ。当たり前だけど、マスカルポーネの質が、日本のスーパーで売ってるのと全く違う。もう日本でティラミスなんか食べてられない。別の食べ物。ぼーーーの!

ディジェスティーヴォを楽しむ

ようやく、ここで食べ物は終了。がっつり胃にぶちこんだものを消化させる作業に移る。たぶん、私の場合はいつもの3倍くらい。ほぼ生命に関わるくらいの量を食べているはずw

自家製グラッパ、美味し!

食後酒、いわいるイタリアで「ディジェスティーヴォ」と言われる、強い酒が来た。なんだか実験用具のようなサーバーに入って出てきた、自家製「グラッパ」。

味は、ベリー、甘草、シトロンの三種類。これも飲み放題だ。かなり強烈だけど、なかなかだった。市販の銘柄グラッパとは全然違う、素朴で逞しい風味。

こちらも自家製、「リモンチェッロ」。キーンとするほど甘くて、しっかり皮の苦さが浸み出ている、濃厚なリモンチェッロ。私は水で割ってちょうどよかった。

ここでカフェが出て終了。いったい私は何品食べたんだろう。もう一生こんな量のポルチーニを食べることはないだろう。とにかく美味しかったし、楽しかった。連れてきてくれた神谷シェフに深く感謝する。