コートダジュールの美術館
私の旅の主目的である美術館めぐり。ニースを含め南仏には素晴らしい美術館が数多くある。ピカソやシャガールやマティス…、この地の陽光と青い海に魅了された芸術家たちが、こぞって移住した南仏。ややアクセスの悪い施設も多いが、アート好きな人にはたまらないエリアではないだろうか。
フレンチ・リヴィエラ・パス
短い期間で数多くの美術館を回りたい人には、「フレンチ・リヴィエラ・パス」というものがある。>> 公式サイト(英語))
美術館を含むツーリスト向けの施設やサービスが無料、もしくは割引になるパスで、公共交通機関の乗り放題パスとセットになったタイプのものもある。
私は今回、登録されている施設をじっくり吟味した結果、購入を見送った。理由は、南仏の美術館は各地に散らばっているケースが多く、アクセスに時間がかかるので、日数制限のパスでは利用価値が薄いこと。さらに自分が行きたい美術館がパスの無料枠になかったこと。
公共交通機関の1週間パスを購入
ということで、公共交通機関乗り放題パスのみを購入。7日間用で15ユーロ。ただし料金はしょっちゅう値上がり&システム改悪されているようなので、事前に確認を。
券売機はトラムの乗り場、バス乗り場の主要なところには設置されている。コインかクレジットカードのみ。フランスのお札は劣化が激しい(本気でボロいw)ので読み取れないんだと思う。
右のハンドルをくるくる回して言語を選べる。日本語はないので英語で購入した。カードの差し入れ口は左側。テンキーは右。ああややこしや。壊れてないかもよーく確認した方がいい。フランスではカード飲み込まれること多々あるらしいので。
可愛すぎる!マティス美術館
7日パスでやってきた、「ミュゼマティス(Musée Matisse – Nice)」。市街地から北東の郊外にある。ゆるやかな坂を登って、住宅地の中を抜けると、シミエ(Cimiez)というそれはそれは美しい丘にたどりつく。
バスを下りたらマティスの世界
まず交通情報。2020年9月現在、公式サイトの案内ではバスはニース市内から 5, 33, 18, 16に乗り「Arènes / Musée」で降りろと書いてある。路線やバス停はしょっちゅう変わるので、直前に調べた方がいいと思う。バス停から進行方向の後ろ側を見ると、シミエの丘に続く公園「Parc des Arènes」があり、マティス美術館はその敷地内に建っている。
公園入口から美術館に続く石造りのゲートがあるが、その先の階段は館の出口に当たるので必ず正面から入場を。
マティス美術館全景。まるでおとぎ話の世界から抜け出たような、甘いロマンティックな佇まい。これが何と17世紀に建てられた、バロック建築だなんて。赤い壁に描かれた窓は、一部「だまし絵」であるのも面白い。
小さくて心休まる館内
館内は撮影禁止なので画像はないが、こじんまりした素敵な展示だった。床がきしむのも心地よい、まるでそこにマティスがキャンバスを置いて制作をしているような、ゆるやかな時間が流れている。そしてなんと、財団が管理している施設であるため、常設は入場無料という有難さ。
この地域は古代のローマ遺跡なども残り、散策には最適なロケーション。今度来るときは、サンドイッチやワインを持って、公園で屋外ランチを楽しみたい。
※マティス美術館と、以下で紹介するシャガール美術館の位置関係はこのような感じ。シャガールの方は、頑張れば歩けないこともない。マティスの方はかなり遠い。
愛と自然あふれるシャガール美術館
マティス美術館より街中に近い「シャガール美術館(Musee national Marc Chagal)」。愛の画家、シャガールの作品がこれでもかと楽しめる、シャガール好きにはたまらない施設だ。街中からはやや離れているが、カフェやショップも充実しているので、ぜひ足を伸ばして楽しんでほしい。
街中からバスでアクセス良好
ギャラリーラファイエットの真裏に小さなバス停があり、そこから15番に乗って10分ほどで到着する。バスを降りたら進行方向に向かって、道の向こう左手側に見えている。ただしバス番号は変わってる可能性が高いので、南仏では直前確認が必要。
緑豊かな庭園を通って、近代的な建物に入ると、左側がレセプション。料金は8ユーロ(2014年現在)。素晴らしいことに、音声ガイドのレンタル料も入場料に含まれ、なんと日本語のガイドもある!
美術館エリアに入ったところのクロークで言語を聞かれるので、パスポートか免許証など、身分証明書を預けて引き換える。ルーブルなども同じ方法だった。
膨大な作品数、シャガールに染まる
館内はまさに、愛の画家、シャガールの世界。ゆったりと作られた空間の中に、鮮やかな色彩がちりばめられている。オフシーズンのせいか混雑もなく、とても静かな気持ちで心ゆくまで鑑賞を楽しめた。
実は私はシャガールが大好きで、パリでも特別展を予約して見に行ったほど。いただきものだが、玄関の絵もシャガールである。定番の「シャガール・ブルー」もいいけど、赤や黄色も素晴らしい。ガイドがきちんとした解説だったので、新しい発見もあった。
■赤いシャガールたち
■青いシャガールたち
■黄色いシャガール
また、館内には小さなホールがあり、スクリーンで短い物語が上映されるのだが、舞台を取り囲むようにステンドグラスの壁があり、差し込む光に輝く光景は幻想的だった。
さらに、展示ルームにも小さなステンドグラスがあり、こちらは壁にガラスが模様状に埋め込まれた、ちょっと個性的な作品。
庭の一角には小さなガーデンカフェもあり、ショップも充実しているので、ぜひゆっくり時間をかけて楽しんでほしい。