神谷シェフのすばらしい鳩に感動

プロムナードザングレへ

ニースと言えば、海。多くのバカンス客がそうするように、私も海辺に出てみた。ホテルからは徒歩約5分。日本の海のように磯臭さがないのはなぜだろう。真っ青だし。

真水じゃなかろうかと思って海水をなめてみたが、しょっぱかった(阿呆)とりあえずビジュアル的には日本の海水浴場とはちょっと違う。今日はここをスタートにニース市街をまったり散歩し、夜は再び神谷シェフのご馳走キメてやるぜ。ああ、南仏のバカンスっぽい。

Promenade des Anglais=英国人の道

この海沿いの遊歩道は「Promenade des Anglais(プロムナードザンクレ)」と言って、意味は「英国人の道」。欧州で最もバカンスに出かけるのはイギリス人だと聞いたが、ここらもやはりそうなのかしらん。

この絶好のロケーションの道沿いには、高級ホテルがずらり。観光局のブランチもマセナ広場から海に下りたあたりにある。

旧市街に近いマセナ広場

海岸通りから北へ向かうと、にぎやかな「マセナ広場(Place Masséna)に出る。ホテルから近くて旧市街への途中にあったので、10回くらい通ったと思う。あのピカピカのおじさんオブジェがあるところだ。

おすすめは噴水の彫刻、夜にお尻から見たショット(こら)

そしてこの噴水の海側にある、マティス美術館に似た赤い壁の建築物。これが可愛いの。

ちなみに夜中、12時ごろにここ通ったときは、ほっとんど人がいなくて怖かった。さすがオフシーズンのニース。パリも違う意味で怖いけど、表通りは誰かいるもんね。

二回目の「HANgoût(ハングアウト)」

また今夜も来たよ、「HANgoût(ハングアウト)」。

今日で店は休暇に入り、12月から再スタートするらしい。フランスではみんなバカンス取るから、飲食店でもオフシーズンに店を閉めるところが多い。特にちゃんとした店ほどそう。もし目当てのレストランがあるなら、お休み情報は事前にチェックして行くべし。

本日のコースは、ほぼおまかせ

2回目のHANgoût。神谷シェフの腕は信じ切っているので、「今日は何がいいかな」「これ食べてみる?」「じゃあそれ」で終了。あとはワクワクしながら美味しいものが出てくるのを待つだけである。

アミューズはまたあの美味しい茄子のちょっぴり(命名)。味は前回レビューしたので、今回は向こう側に写ってるパンの話を。

神谷シェフに「どこのパン屋の?」と聞いたら、「ニースには納得できるパン屋がないから」と、店で焼いているそうだ。普通のバゲットより、もっともっちり。オーストリアで食べた胚芽パンや、サワードウに似た、腰のあるタイプ。そして塩分控えめ。バターやオイルがない方が、粉の旨みがはっきりわかると思う。

アントレは「牛肉のTATAKI」

うひょー、日本語のメニューが南仏でまかり通ってる。肉をあまり食べない私だけど、これはするっと胃に収まった。全然脂っこくないのだ。そして……超やわらない。ほんとは「外国の肉だから固いだろう」と思っていたのに。なにこれ、和牛?

「ドイツの肉なんだけど、肉質が柔らかいでしょう。この肉は、たたきが美味いんですよ」と、神谷シェフ。酪農に強いフランスで、ドイツの肉をあえて使う。美味しいものへの探求心はんぱねぇ。

上にどっさり乗ったサラダも、ルッコラの風味とビネグレットの爽やかさが、肉とコラボする気満々のストイックさで素晴らしい。さらに、これでもかと添えられたアボカドが、赤身の肉にくどくないコクをプラスしている。

……いやちょっと待て。これ大盛りすぎるやろw(いま気づいた)

チーズのかりかりも最高

ちなみに上に乗ってるのは、チーズをカリカリに焼いたもの。これだけお持ち帰りでワインのおつまみにしたい。一口かじればアルプスのお山に帰れる、そんな濃厚なチーズ感でうまうま♡

珍しく肉料理をぺろっと平らげ、また次も肉。私にしては非常に珍しいチョイスの理由は「今日は鳩がおすすめ」というシェフの一声。もうね、彼には逆らわない方がいいと思うの。

美味しさに衝撃、鳩のロースト

鳩、はいります。日本では滅多に食べられない鳩。公園の鳩を捕まえて焼いてもダメよ。専用の鳩を炙り職人が焼かないと、ここまで美味しくならない。今まであちこちで食べたし、フランス料理もそれなりに経験してきたけど、これは衝撃の一皿だった。

この名人芸の火入れを見よ!

これ半身なんだけど、私にもうひとつ胃があったら一羽いきたかった。ねえ、これ生肉に見えるでしょう?しっかり火が通ってるの。私がレアが好きなので調整してもらってると思うけど、がっつりナイフ入れても、血の滴りなんてなし。でも、口に運んで噛みしめると、ジュワ~ッと美味しいジュース(肉汁)がほとばしる、天下無敵の火入れ具合だった。いやまじでこれうまいわ。

ねっとりもっちり味の濃い鳩は、臭みをまったく感じない。触感は肉刺しみたいで、しかも皮は香ばしく焼けてるマジック。まぎれもなく、私が国内外で食べた鳩の中で最高だった。

ソースは見た目と違って、濃厚だけど味わいあっさり。カリカリのラスクに乗ったレバーのパテ(これがまた濃厚)、付け合わせのガルニチュール、フレンチの素晴らしさを堪能させてくれてありがとう。

またいつの日か、彼の料理をいただきたい。必ず。