コンコルドに逢いに航空宇宙博物館へ

こちらは2013年の記事を再掲しています。現在とは情報が違う部分がありますので、予めご了承ください。

「パリ航空宇宙博物館」へ

時差ボケのない体質を存分に生かし、早起きしてやってきた東駅(ラ・ガール・デ・イスト)。すぐ近くの北駅とセットでファンキーな治安を誇る地域だけに、朝っぱらでもよろしくない空気がムンムンしている。

今日はこの駅前からバスに乗って「パリ航空宇宙博物館(Musée de l’Air et de l’Espace du Bourget)」へ行くのだ。あんまり女性の観光客は行かない所だけど、私みたいな飛行機好きにはお宝の山。特にもう今は世界の数か所でしか拝めない、幻の名機「コンコルド」に逢える場所でもある。

車なしではけっこうアクセスが大変

しかしこの博物館、行くのが面倒くさい。この東駅から北駅を通って、シャルルドゴール空港(ロワシー)へ行くバスに乗るのだが、時刻表通りに来るどころか寒い中40分も待った。そしてカルネ(地下鉄とバスは共通)も、郊外行きだから2枚必要。時刻表のすみっこに小さく書いてあるけど、うっかり一枚で乗って見回り(たまにやってくる)に見つかったら、どえらい罰金を取られてしまう。

ようやく来たバスに乗り、同じ目的地のじいちゃんに連れられて無事に下車。まあ、でかいロケットが見えるから間違う事はなさそうだ。ここもミュージアムパスでオッケー。広いから見取り図をもらって、まずは本館内部の展示へ。

宇宙系の何やらすごいもんが並ぶが、ほとんど解説がないのでようわからん(笑)そしてほとんど人がいない。寒い。さっきチケットカウンターに群れていた人々はどこ行ったんだろう。

それにしても映画のセットみたいな機械がすごい。なぜかロシアの宇宙船もあったりして、そういえばフランスって宇宙開発進んでないよな、とか思い出した次第。

外にも機材の展示がたくさんあるよ

外へ出てみた。うぉぉぉ、ようやくそれらしい展示が見えてきたではないか。と言っても外に飛行機が駐機してあるだけで、勝手に見てくれ状態であるの。

しかしこんな近くで飛行機が見られる機会なんて滅多にない。タラップ昇降するときだって一瞬だし。ロワシーの空港が近いため、近隣は航空施設が多く、隣の敷地からも小型機が離着陸していた。好きな人にはたまらん施設だ。

セントウキ!セントウキ!と、叫びながら走り回る怪しげなアジア人。雨ざらしか~。もったいないな~

ジャンボの中は展示室になってて、これがまた面白い。貨物室には車も入っている。ちょっとー、ここに泊まりたいんですけど~~!w

格納庫内にもたくさん展示有り

格納庫がだーっと並んでいる中も必見。こんな子たちに会える。

おおう、おおう(もう言葉を発していない)

コンコルド様を拝みに行く

さて、そろそろお目当てのコンコルドへ。いくつか屋内展示の格納庫がある中、いちばん奥がレディのお部屋だ。

飛ぶアート、超音速ジェット機

一世を風靡した、夢の超音速ジェット旅客機「コンコルド」。フランス(エールフランス)とイギリス(ブリティッシュエア)の共同開発で、その速さもさることながら、芸術品のような美しい機体デザインでも、世界の憧れの的となった。しかし事故が度重なり、ついに二度とその姿が大空を舞う事はなくなった。最後のフライトには、大金をはたいて搭乗を希望する人々が詰めかけたという。

以後はここブルージェの博物館と、ドゴール空港の一角(一般公開はしていないが空港内から見える)、そしてロンドン郊外の博物館におさめられている。ロンドンオリンピックの開会式で、もう一度飛ぶのではとうわさが流れたが、残念ながら飛ばなかった。

※クリック拡大

その幻の鳥は、こんなシンプルな表示の格納庫の中にいた。しかも開けたらすぐ目の前に。一瞬ぽかーんとして、じわっとアドレナリンがわいてきた。

「うわぁぁぁぁぁ!コンコルド!!!!」

帰って数えたら100枚くらい写真を撮っていた。動画も延々と。とにかく美しくて美しくて、こんな飛行機が空を飛んでいたなんて信じられないくらいだ。まさに大空の貴婦人!

ドキドキしながら機内を見学

パスをゲートに通せば、内部に入ることもできる。できれば旅客として乗りたかったと思いつつ、純白の搭乗口から内部へ…

「コンコルドって意外と小さいでしょう?」と聞かれるが、外から見ると大きく感じる。もちろん機体の胴体はスリムだし、鼻先なんて細いピン一本だ。

でも羽を広げた姿はのびやかで、縦に長さを感じるというか、動きがあるというか。人間に例えれば、背が高くて姿勢のいい、上品な美女。ちょっとクールで、素晴らしく脚のラインが美しい、そんな容姿を想像する。

想像以上に狭い、コンコルド内部

機体の速度を守るため、窓が非常に小さいのもコンコルドの特徴。パリ~ニューヨークを飛んだかつての旅人達は、この窓から何を見たのか。

そして客室。今の横3・4・3シートの旅客機に比べると、それはそれはタイトな空間。

大柄な西欧人が乗るにはきつすぎる狭幅シート、サービスカートがようやく通れるだけの通路、低い天井…。

しかしこの空間の何とも言えないぴったり感って何だろう。今みたいに飛行機の旅が一般的でなかった時代の、ワクワク感とか優越感とか、そういうものがいっぱい詰まった、一種独特なムードを感じる。やっぱり素敵だ、コンコルド。遠かったけど、会いに来てよかった。

ショップとカフェもあるよ

この他にも施設内にはたくさんの展示物がある。こちらはこの施設のシンボルにもなっている「アリアン5」の実物大模型。真下から見上げる事ができ、ちょっとスリルを感じる。

施設内にはショップもあり、エールフランスのグッズや書籍など、あれこれ手に入る。レストランとカフェもあるが、お昼時には混んでいて注文したもの勝ち。お茶しようと思ったが、何度エクスキュゼ言うても無視されたので、仕方なく断念。フランスで店員さんに声かける時は、なるべく異性をねらえと言う鉄則を思い出し、なるほどなと納得した。

「パリ航空宇宙博物館」公式サイト