美しい小さな村へ行こう
今日行くのはニースから西側に車で1時間ほどの「サンポール・ド・ヴァンス」と「ヴァンス」。名前が似ているから混同する人もいるが、別の村である。南仏の小旅行に人気で、2つの村を1日で回る人も多い。
ヴァンス方面行きは400番バス
2つの村は、どちらも400番バスでアクセスできる。ヴァンスが終点、その2つ前(止まらないバス停もあるので注意)がサン・ポール・ド・ヴァンスだ。乗り場は、空港バスを下りた「アルベールプルミエ(Alvert 1er)」の、公園を挟んで反対側。赤い丸(左)をつけたあたりにある。
ニース市内、長距離バスターミナルがなくなって、乗り場がバラけて非常に面倒。そこで、どこよりもわかりやすいブログを目指す私としては、乗り場と料金情報も記載しておくことにした。(2014年10月下旬現在なので、変わっている可能性大。乗車時には要確認)
【バス料金について】
実はサンポール・ド・ヴァンスまでは、ニース市内の7日パスが使えると聞いていたが、乗るときに一応確認したらドライバーが「??」という顔をした後、料金を請求された(1.5ユーロ)。もしかしたら、黙って機械にパスを通したらよかったのかもしれない。バス会社のホームページを後で確認したら、無料ゾーンに入っていた。まあ、フランスなので従業員もシステムを把握してないことが多い…(苦笑)
まずはサン・ポール・ド・ヴァンスへ
最初に「サン・ポール・ド・ヴァンス(Saint Paul de Vence)」から訪ねてみる。この間までは「サン・ポール」と呼んでいたそうだが、あちこちにサン・ポールという地名があるせいか、「ヴァンスにあるサン・ポール」という、長々しい地名に変更された。それはいいんだが、サン・ポール(聖ポール)というキリスト教の聖人の名を、よくも日本のメーカーはトイレ洗剤につけたもんだ(驚)
下りたバス停あたりのロケーション
到着。バス停の表記は「Village(ヴィラージュ)」だけなので要注意。ここに金属製の冷蔵庫みたいな有料トイレがある(困ったときはここへ走ろう)
バスを下りて振り向くと、ちいさな交差点があり、その先が村の入り口。この道をまっすぐ行って、道なりに右方面に曲がると村のゲートがある。
これは、その交差点にある薬局(上の写真で言うと右側の角)、「Yakkyoku」と「薬局」って日本語で看板が出てる。建物自体もすごくかわいくて、みんな記念撮影していた。
でも、まだ村の方には行かないのだ。私には先に行きたいところがあるのだ。うひひ。
村の前に「マーグ財団美術館」へ
行くのは交差点の反対側。バス停から道を渡ったあたり。アート好きな人はこの木を探してね。
この木の右側の道をエッチラオッチラ、20分くらいあるいて「ええ加減にせえよ」と思った頃に見えてくるわよ、「マーグ財団美術館(Fondation Marguerite et Aimé Maeght)」が。(↓途中、邸宅や花がきれいだった)
ほんとはここに来るひとつ前のバス停が美術館前なんだけど、見事にすっ飛ばしてくれたから(申告したのに)歩く羽目になったよ、徒歩ほ(←これが言いたかったw)
Fondation Marguerite et Aimé Maeght
ここが門。はー、長い坂道だった。表通りの看板から、ずーっと坂。けっこうな坂、きつい坂(よほど辛かったらしい)
でも、来てよかった。すごい世界がそこにあったから。
まずは入り口のチケットブースで15ユーロ払う。ちょっと高いけど、いきなり野ざらしのミロがお出迎えさ!
この白いやつね、好きな人はすぐわかるでしょ。
1個だけじゃないよ、あっちにもそっちにも。
おしっこしてるおじさんたちもいるよ。
この庭だけで20分かかる。写真も撮り放題。完璧に手入れされた庭。計算された建築群、ミュージアムショップ(ガラス窓の部分)の壁も展示になってる。
またこのショップが良かった。荷物になるので大きなものは買えなかったけど、車で来た人だったら大型のポスター類など、かなりの品ぞろえだからねらい目かも♪
館内も屋外も見落とさないように
館内にも、マーグ夫妻が私財で集めたアートがうなりを上げている。作品自体はそう多くないけど、個人の私蔵っていうのはベクトルがはっきりして媚びてないから、好きな人にはすごくハマる。
そして、屋外展示が充実しているのも素晴らしい。建物の側面もよーく見て。そして、いきなりこんなのが出てくるw
もちろんこの場所だからできることなんだろうけど、室内より何倍も設置や維持が大変な屋外アートを、これだけ積極的に置いている施設って珍しいんじゃないだろうか。そういう意味でも異色の美術館だと思う。
出入口近くに合ったカンデンスキー。こういうのも、ほいっと飾ってある。
あんまり美術に興味ない人は、わざわざ来る価値はないけど、普段から好きな人は絶対に楽しめると思う。素敵なカフェもあるので、まったりしたい人にもいいね。
旧市街(Vieille Ville)へ
また来た道をせっせと戻って、今度こそサンポール村の中へ。なんかいい雰囲気でしょ。作りこまれてる感じがする。日本で言うと軽井沢とか湯布院とか、そういう女子力の高い観光地の匂いがする。
坂と石畳なのでスニーカーで
この村は旧市街がそのまま残されていて、車の乗りいれができない。石畳と坂道、階段の連続なので、スニーカーで来るのが正解だ。雰囲気が素敵なので、きっと歩き回ってしまうはず。
村の規模は、1時間くらいあれば歩いて回れる小さなエリア。足元にも可愛い模様が埋め込まれていたりして、いかにもな土産物屋も多い。値段はやはりちょっと高め。これは仕方ないね。
旧市街のあちこちで目についた、古代の井戸。今も水が湧いていて、飲めるものと飲めないものがあるので、チャレンジする人は表示をよく見てからどうぞ。
ちょうど昼前くらいにあたったので、ここでランチにしようかと思ったけど、旧市街の中には大した店はなく、後で行くヴァンスで食べることに。
しかし今思えばこれが大失敗。ヴァンスよりこっちの方がチョイスがあった。この坂道の途中にクレープとサラダの店があって、そこで食べておけばよかったと後悔。でも、街の作りからしかたないけど、入りにくい店が多いのよね…。
ちなみに村の入り口あたりと外側に、レストランが集中している模様。お値段はやはりワインつけたら30~50ユーロくらいはかかるかな。サンドイッチ売ってる店もあるので、簡単に済ませたい人はそちらでどうぞ。それでも飲み物付きで10ユーロ~だけど。
余談:旧市街にはニャンコが多いぞよ……
シャガールのお墓に寄ってみた
最後に、シャガールにお別れを告げに墓地へ。
旧市街を奥へ奥へ向かうと、小さな集合墓地があり、そこにひっそりと、かのシャガールが眠っている。
シャガールの墓は、入って右手側の木の下にある。たくさんの石が乗っているのは、彼が東欧系ユダヤ人だったからだ。(ロシア人と書かれている記述もあった)
ユダヤ教では花ではなく、石を墓に乗せるらしい。私も祈りを込めて小石をひとつ乗せてきた。
そういえば、アメリカでも地面に埋め込まれた墓碑ではなく、こういう墓を見たことがある。あれはユダヤの人々の墓だったのね。墓石には、三つの名前が刻まれている。マルク・シャガール本人、ヴァヴァ・シャガール、ミシェル・ブロドスキー。
よくシャガールの絵に出てくる女性は、長年の恋人で最初の妻であったベラ。その愛するベラが亡くなり、数年後に再婚したのがヴァヴァである。(途中にヴァージニアという恋人あり。モテたんだね、シャガールw)
ミシェルは義理の弟だそうで、たぶんヴァヴァの弟?絵のファンとしては、ベラとともに眠っててほしかったけど、まあ色々あっての人生っちゅうことだ(笑)さてこれよりバス停へ戻り、再度400番バスに乗って終点ヴァンスへ。