秋田の美味をこれでもかと堪能

秋田の名物を食べつくしてきた

温泉宿ではこれだという美味に出会えなかったので、今夜は秋田市随一の繁華街である川反(かわばた)の居酒屋さんを予約した。やはり美味しいものを食べたいときは都会に限る。選択肢が多すぎてもう一泊したいくらいだ。

「川反の北洲」ここは間違いない

午後7時の川反。あらっ、人が少ない。大阪に住んでいるので、繁華街は人の波というイメージがあったのだが、ここはひっそりとしている。しかし、今から行く「北洲」は、脳が粕漬けになってそうなおっさん(失礼w)のブログで見かけて、間違いなく美味いだろうと予感がしていた。そういう勘は外れたことがない。店構えを見て確信した。

良い。理想的なムード。おしゃれな店内でアレンジされた郷土料理を食べるつもりはない。私は土地の人々が育てた味を求めているのだ。

この看板の素晴らしさよ。待ってろ、きりたんぽ。今からダイブするぜ!

まずはメニューをじっくり吟味

入ると左側にカウンター、奥に座敷。一人なのでカウンターの奥に通される。目の前にはスポーツ新聞、何席か向こうにもう出来上がってそうな親父さん。ええぞ、ええぞ。美味しい予感。

手書きのメニューは季節によって変わる。もうそろそろ「だだみ(タラの白子)」が出てるかなと思ったが、まだちょっと早いみたい。じっくり眺めたい方のために、クリック拡大を仕込んでおいたよ↓

季節が秋なので、きのこは絶対に食べたい。あまり関西で見かけない「あわび茸」を食べてみよう。「だまっこ鍋」というのは、きりたんぽ鍋の源流となったもので、ごはんを玉(だまっこ)にして鍋に入れる。数は少ないけど、酒飲みが喜ぶ秋田の味が勢ぞろいしていて、思わず顔がにんまりする。

メニュー違うページ。基本、ラインナップはこれくらいの数。この他は酒類になる。「きりたんぽ鍋」と「塩魚汁(しょっつる)鍋」は、一人用サイズも作ってもらえるので、さっきのだまっこも心惹かれたが、この二つから選ぶことにする。この時点ではまだ悩んでいる(笑)

山菜ときのこのお通し2品

お通しは2品で600円。おかわりしたいくらい美味しかった。まずは「みず」という山菜のおひたし。ごくごく薄味。これは昨年の岩手でも食べたが、東北一帯で採れるものらしい。

噛むとさくっとした歯ざわりの後で、粘りが感じられる。非常に美味しい山菜だ。いろんな味付けがあるそうだが、この薄味のおひたしは好みだ。

もう1品は、きのこのおろしポン酢。ぷりっとした肉厚の天然なめこと、きくらげに似たコリコリ系のきのこ。名前を聞いたけど忘れた…。これもあっさりしていける。生ビールがこれだけで1杯消えた。量もたっぷりあるので、後の注文は様子を見ながらがよさげ。

山の幸と海の幸を欲張ってみた

ここで食べたかった大好物「とんぶり」が登場!ひゃっほう。これは何かというと、ほうき草の実。畑のキャビアとも言われる、プチプチした食感がたまらない。私はキャビアよりこっちが好き。たいていの場合、山芋と一緒に出される。ちょいと醤油をたらして、細かい粒を山芋でからめとっていただく。ああ、山芋も美味しいわ。どうしよう盛り上がってきたw

次は刺身。カンパチやまぐろも気になったけど、せっかく男鹿はたこで有名なのでトライしてみた。茹でたものではなく「蒸したこ」。これが抜群にうまい。ぷりんぷりんで甘い。茹でたことは違う歯ごたえを堪能した。

「あわび茸バター炒め」。まずは「でかい!」レモンと比較するとわかりやすいはず。ほんのり塩味でバターがふわっと香り、噛むと汁がじゅわっとくる。これは素晴らしい。フランスで食べたセップ(ポルチーニ)のソテーとそっくり。頼むときは1人一皿いっとこう。あっという間にぺろっと消える。

ここで「ハタハタ」と日本酒!

あたしのハタハタが焼き上がった。炭火でこんがり。君に会いに来たんだよ、ハタ君!ちょっと小ぶりなので一人で食べるのにちょうどいい。「でも、小ぶりなんで卵はどうかな~」と思いつつお腹をオープンしたら…

ぎっしりだった!むちむちで絶品。秋田では11月末から1月にかけてが旬とされ、ブリコ(卵)を持っている雌が珍重される。太宰の小説では「海の鮎」と書かれていたっけ。身はほろほろ系というか、骨離れが良くてくせがない。あー、やっぱりこれ食べないと帰れないわ。来てよかった(しみじみ)

もちろん、もうビールから日本酒に切り替えている。「秋田のスタンダード」と言われる「刈穂の六舟」。しっかりした味わいで、辛めのすっきり系。魚に合う。やや口当たりにとろみがあって、飽きのこない飲み口。

いよいよ「きりたんぽ鍋」に突入

もうかなりお腹いっぱいだったけど、鍋を食べねば帰られぬ!迷った結果、スタンダードに「きりたんぽ鍋」にした。一人用でもちゃんとコンロが出て、最後まで熱々でいただけるのが嬉しい。

きた~~。一人用でもかなりボリュームがある。食べごろのが出てくるので、フルスロットルでいただこう。具材はきりたんぽ、鶏肉、せり、白ねぎ、糸こんにゃく、まいたけ。スープは鶏がらを寝かせて油抜きをするそうだ。

店で作って炭火で炙ったきりたんぽは、汁を吸ってほろっと崩れるやわらかさ。スープが実によいお味で、油っ気がないのでどんどん食べられる。これはうまい。せりがどっさり入っていて、すがすがしい香りがたまらない。

お酒は「雪の茅舎」を。これはフルーティー。吟醸香が出羽桜にちょっと似た感じ。さらっとしてサラダなどにも合いそう。もっきり(コップ酒)の盛りがいいので、すっかり酔っぱらってしまったよ♪

なんと、ホームページがあった!創業60周年だそうだ。

「秋田郷土料理 北洲」  「きりたんぽ鍋」の全国発送もあり。