大阪ごはんメモ:その1

「ごはんメモ」について

台北、香港、大阪、京都、東京、札幌、博多など、ブログにはあげてなかった飲食ネタを、だらだら貼り付けていくゆるいコーナー。溜めこんでいた情報なのでデータが古かった場合はご容赦を。

インデアンカレー

甘くて辛い、浪花のソウルフード

とりあえず全国的に有名な店からいってみよう。インディアンちゃうよ「インデアン」が正しい店名。甘くて辛い大阪のカレーを定着させた、老舗のカレーショップである。大阪市内のビジネス街に数店舗、東京にも1店舗ある。

ごはん、ルー共に普通盛りのカレーを頼むと、店員さんたちが「レギュラー」とコールする。ルーはどちらかというとさらっとしてるかな。具がほとんどない。ちらっと肉が乗ってる。ごはんにルーをかける役目は店長だけなんだそうだ。(店長が長期休暇したらどうするんだろ)

店によってはハヤシやピラフも

このインデアンカレー、常連が多いのでルーのかけ方とか注文の仕方などローカルルールが多い店でもあるが、普通の人は気にしなくても大丈夫。基本はカレーライス。店によってはスパゲティやピラフ、ハヤシライスなどもあり、まずそれら基本メニューを選択、オプション追加となる。

上の写真は私の定番「レギュラーたまご」。インデアンカレーは卵をつけるかつけないかで大きく味が変わる。大阪ではカレーに生卵を入れる人が多いのだが、たぶんそれを想定して味のバランスを取っていると思われる。なお、「たまご」と言うと黄身だけ乗ってくるので、白身もほしい人は「全卵」と言う。

あとはご飯の多め、少なめ、ルーの量をお好みで。それぞれ増量は割り増し料金がかかる。そして甘酸っぱくてデリシャスな(大好物)添えの酢漬けキャベツ、これも別料金で大盛りにできる。ちなみに写真のキャベツは普通盛り。

クセになる、カレースパゲティ

私が最近よく注文する「カレースパゲティ」。これが何とも昭和っぽくて美味しいんだけど、メニューにある店が限られる。麺はもちろんアルデンテなどではなく(笑)油で炒めた喫茶店風。普通に頼むと少しルーが足りないので、私はいつもルー多めにしてもらう。グリーンピース嫌いな人はナシもできるでぇ~

インデアンの味の特徴としては、一口目にフルーツの甘さがぶわっときて、次にけっこうな辛さがガツンと来る。私は「うーん、カレー食べた!」という満足感がたまらんが、辛さのレベルが調整できないので「中辛じゃないと無理」という人にはおすすめしない。

手打ち麺「やす田」

職人魂を感じる、澄んだスープ

新大阪の東口にはなーんにも食べる店がない。それなのに、仕事で昼時にうろうろすることが多い。そういう時の救世主が「やす田」である。不定期に休むし(最近はさらに休みが多いそうだ)、開いてるときはいつも並んでるし、なかなか難しい店ではあるけれど、ここのラーメンは他では食べられない特別な味わいだ。

まずは「塩」をいってみよう

ラーメンは「塩」と「醤油」の二択。あとはちょろっとご飯ものがあるくらいで、メニューは絞られている。初めて来てどっちにしようかと迷ってる人には、塩をおすすめする。塩の方がうまいとかでなく、この店の仕事っぷりがわかりやすい。混んでいるときはやや時間がかかるが、根気よく待つべし。

見よ、この美しくクリアなスープを。とにかく仕事がきれい。ねぎ二種類、極太の自家製メンマは激ウマなので増量してもらう。肉はあんまり興味ないのでわからんが(笑)ツレは「やばいっす」と言っていた。

見た感じ頼りなげなスープだが、しっかり出汁の旨味がある。塩分はやや控えめ。脂っこさは全くなく、上品なアミノ酸のコクが舌から浸透してくる感じ。ほとんどの人が飲み干すのわかる。グイグイいける。

パンチのきいた「醤油」も美味い

こちらは醤油。まったく塩とは違うスープ。かつお節が乗って、しっかりとした魚の出汁を感じる。飲み込んだあとに追ってくる、醤油の甘み。

麺は自家製の手打ちで、すごく弾力のある太目のちぢれ麺。だったらもう少し濃い目のスープの方がいいんじゃない?と思うだろうが、この透き通った上品なスープ、こんな元気のいい麺にちっとも負けない。

場所は新大阪東口から徒歩3分くらい。なんでこんな所に系の名店である。行って閉まっていたらショックだが、トライする価値はある。

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揚子江ラーメン

昭和の梅田を見守った味

ここは学生の頃からお世話になった店。今は小ぎれいになって女性も入りやすくなったけど、昔はべとべとしてディープな世界だった。今もたまに梅田で映画を見たときなんかに立ち寄る。

スープはあっさりした塩味。麺は細めであんまり弾力はない。なんとも頼りない感じではあるが、大阪の薄味文化に受け入れられ、特に呑んだあとの〆としておっちゃんらに評価が高い。

上に乗っている水菜、これ以前は菊菜(春菊)だったのよ。黄色いパラパラしたのは玉ねぎの揚げたやつ。これを食べると、貧乏だった学生時代(いまもビンボやけどなw)を思い出す。当時、梅田には名画座があって、せっせと通ったもんだ。

はり重カレーショップ

道頓堀でふらっと入れる老舗

グリコの看板やカニで有名な道頓堀の戎橋(別名ナンパ橋)の西側、御堂筋沿いにある有名な肉屋さん「はり重」。その「はり重」が経営するすき焼き屋、グリル、カレーショップは、昔から口の肥えた船場の旦那衆に人気で、いちばんカジュアルなのが「カレーショップ」。肉屋の南側の小さい入口から入る。

よく注文するのは、この「ビーフワン」。(写真は大阪タカシマヤのイートインにて撮影)ハイカラな名前の正体は、牛丼の卵とじである。しかし、普通の牛丼を想像していると、良い意味で裏切られる。

まあ、お出汁が上品なこと、牛肉が上等なこと(さすが高級肉屋)、そしてご飯が素晴らしい。ええ米やというのがわかる。お漬物(これもまた美味い)がついて800円、その値段では申し訳ないような、品質の良さ。さすが「はり重」ブランドである。

看板のカレーは懐かしの味

カレーライスはちょっと黄みがかった、昭和っぽいビジュアル。辛さは中辛のちょっと辛め。小麦粉を炒めて作った、とろっとした懐かしい洋食の味がする。これはエビカツのカレー。エビを開いてフライにしてあって、いかにも洋食屋さんっぽい。

こちらはハヤシライス。よいお肉で作ったドミグラスの味がする。甘酸っぱくて、とろっとして。これは家では出せない風味。

「ビフカツ」もおすすめ。とても柔らかな赤身肉を、さっくり極薄の衣で揚げて、すっきり系のドミグラスソースをかけた、ご飯のいける一品。付け合せのサラダのフレンチドレッシングが絶妙で、これに赤だしを付けたら完璧。

グリルになると、お値段がアップ

なお、系列店の「はり重グリル」は、カレーショップよりちょっと高級。上記のメニューはどれもカレーショップでは1000円前後で食べられるが、グリルになるとビフカツ→「ビーフカツレツ(2200円)」という風に進化する。

私の場合は、グリルは友達とランチのとき、カレーショップは一人でさくっと済ませたいとき、というように使い分けている。女性一人でも入りやすいのがありがたい。店員さんも丁寧な接客なので、一人旅の人にも最適。

「はり重」公式ウェブサイト >> 

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【思い出シリーズ】

串カツ やっこ(閉店)

新世界にあった素敵パラダイス

この記事を書こうとして思い出し、友人に「久々に行ってみよか」と声をかけたら「閉店したみたいやで、大将、亡くならはったんやて」と悲しい報せを受けた。なので、この記事は思い出話として書くことにする。

地方から(大阪では東京も地方扱い)お客さんが来て「新世界に行きたい」「串カツ食べたい」と言うと、ここに連れて行くことが多かった。

おっちゃん二人、愛想なし、味は最高

カウンターだけ、二人のおっちゃん(爺ちゃんに近い)が切り回している路地裏の老舗で、戦後の新世界を支えてきた、安くてうまい串カツ。二人とも愛想なしで、特に大将は当たりがキツい。でも、味は最高。私は揚げ物が苦手で滅多に串カツは食べないが、ここのは軽くて胃にもたれないので好きだった。

私が学生の頃は、新世界あたりは環境が悪くて女性の夜歩きははばかられたものだが、今やすっかり観光地化して、一見でも入りやすい大規模な串カツ屋がいっぱいできた。

しかし、情緒を味わうなら断然こっちなのである。12時の開店前からダーッと客が並んで、運よく一巡目に入れたらラッキーだが、椅子が埋まってしまったときは、誰かが食べ終わるまで待つしかない。

大阪では「串カツ」=牛肉

入ったら、まず瓶ビールとから揚げを頼んで、冬なら牡蠣。夏ならアスパラ。手際よく揚げていく手元を眺めるのも楽しかった。もちろん服に油の匂いはしっかりつく。隣の人ともギュウギュウで皿が混じりそうになるし、おっさんらはガンガン煙草吸うし足元に吸い殻捨てるし、いま考えたらとんでもない店(笑)

ちなみに大阪では「串カツ」とは牛肉である。これにびっくりする人はけっこう多い。「二度づけ禁止」のソースは、このような四角い金属容器に入れてある店が多く、もし食べている途中でどうしてもソースが足りなくなった場合は、となりにあるキャベツでそっとすくって垂らす。(何度もやったらあかんで)

もうこんな店は、今後どんどん少なくなっていくのだろう。今度からお客さん、どこに連れて行こうかしら。古い人間でよかったと思うのは、リアル「じゃりんこチエ」ワールドを体験できた最後の世代だったから。大阪はやっぱりディープなエリアが楽しいねん。この「ごはん」シリーズにも、変な店がまた出てくるのでお楽しみに。