貴族の館「ウォレスコレクション」

こちらの記事は2012年の再掲です。多少情報が古いことをご了承ください。

ボンドストリートで百貨店をのぞく

活気の街、コヴェントガーデンから、ちょっとハイソなショッピングゾーン、ボンドストリートへ足を延ばす。
百貨店だらけで散財しそう

ここら一帯は隣町のオックスフォードサーカスからずらーっと、有名百貨店やファッション関係の店が建ち並び、通りを尋常じゃない数の人間が歩いてる。東京で言うと渋谷の高級版、みたいな感じになるんだろうか。

次に目指す「ウォレスコレクション」はここからちょっと住宅街に入った場所にあるので、ぶらぶらとウィンドウショッピングしながら歩いてみた。いやー、百貨店が多いわ~。

中でも目に付く巨大な「セルフリッジズ」。ロンドンの百貨店=ハロッズみたいな感じがするけど、実際はこちらの方がリードしてる感じがした。

ウィンドウの飾りがかわいいし、中でもシーズナリーなイベントやってたり、ずっといても飽きないほど楽しい。そして食料品コーナーの多彩なこと!

ただし、商品はよく見て買わないと。日本みたいに管理がよくないので、パッケージ破れてたりするのが平気で置いてある。チャールズ皇太子がやってる自然食品ブランドのクッキー、日本に帰って開けてみたら粉々だった・・・(涙)

静かな住宅街に佇む貴族の館

さて、セルフリッジズを軽く覗いて、目指すは北側にある「ウォレスコレクション」。小さいけれどとても趣味の良い、貴族のかほり漂う博物館だ。表通りを一本裏に入ると、街の喧騒から離れた静かな住宅街があらわれる。ここらへんは、メリルボーンという界隈らしい。

やがて公園をはさんだ向こうに、目指す建物が見えてくる。あぁ、この風景はその館の主が生きた時代と同じかもなぁ、なんて。

The Wallace Collection

「ウォレス・コレクション」に到着。他の美術館と比べて間口は小さいが、奥に長い。そして、けっこうマニアック(笑)ここも国の運営ではないが、非省公共団体だそうで入場料は無料だった。ありがたや~

例のごとく、£1を募金箱に入れてMAPをいただく。受付も売店もこじんまりして上品~。

いきなり武器庫突入で興奮!

ところが、一階の展示室に入るなり、なにやら物騒なモノたちが・・・

これらの大半を集めたのは、第四代ハートフォード侯爵リチャード・シーモア=コンウェイさん。ふふ、私と趣味が合うじゃないの(笑)

美術館自体は彼の死後、ずいぶん経った1897年に設立。コレクションと屋敷を相続した非嫡出の息子リチャード・ウォレスが亡くなり、未亡人がコレクションの全てをイギリス政府に追贈した。それが「ウォレスコレクション」。

しかし英国の金持ちさんは、国に財産の寄贈する人が多いね。維持費が大変とか税金の軽減とかあるのかな~、とか考えてしまう私は超庶民・・・

しかしそのお陰で我々がこうしてお宝を拝めるのだから、ありがたいこと。芸術は広く公開すべし。奥の間に隠してたらカワイソウなのだ。

マニア魂が炸裂、武器好きの天国

ということで、甲冑や兜にひゃーひゃー言いながら鑑賞。マルタでも悲鳴をあげそうになったから、やはりマニアの領域に踏み込んでいるのかもしれない。日本の鎧や篭手、具足なんかもぞわぞわ~っとする。

馬になんか乗られたりなんかしたら、もう(笑)しかも、馬にもマスク付き。身分の高い人の出撃シーンだろうか。この装飾を見て!

もうこのへんからは趣味の世界なので、関係ないわと仰る方はずずい~っと飛ばしていただいて(笑)

西洋の甲冑は、その昔は地位と名誉の象徴でもあり、家紋を入れたりデザインに凝ったり、中には馬とおそろいの模様の甲冑を装備する兵士もいたりしたそうだ。エスカレートして馬用のブーツとかもあった。もちろん、一頭ずつ採寸してフルオーダー。そのうち武具や兵器は実用品から工芸品の趣が強くなってきて、貴族とかがこういうデコ大砲なんかをこしらえ始めた。

どこの国も似たようなものだ。日本でも本来は実用品であった鎧や兜が、金持ちの工芸品として飾られるようになったし。

これぞ英国貴族!なコレクション

なんてことを考えつつ、一階をぐるっと回ったら噂のティールームがあった。乙女向きなガイドブックなどでは、「ロンドンでも屈指の素敵なティールームよん♪」と書いてある。

確かに天井から日光が入って室内ガーデンみたいで雰囲気よろし。しかし…よく見たらクッションのはじっこがボロかったり、テーブルななめってたり、写真で見るほどでは・・

豪華絢爛なお部屋が次から次へと

ティールームはすっ飛ばして室内展示へと向かう(笑)ここからはもう、あーた!貴族の世界まるだし。

赤い部屋って、ちょっと見る分にはいいけど、ここに3日住んだら間違いなく気が狂う。それくらい壁もカーテンも真っ赤。そしてデコラティヴな家具がゴテゴテとならんでいるのだが、なんか不思議な調和。なんだろう、この妙なぴったり感は(笑)

階段ひとつとっても、隅々までデコラティヴ。踊り場にはこれでもかと濃い味の絵。きっとこういうところを、貴族のご夫人たちが裾ひきずりながら歩いたのね。ごめんね、オニツカタイガーで踏んだりしてw

お2階がまた素晴らしいざます

2階に上がると、さらに貴族度はあがる仕掛けらしい。より盛りの激しい部屋が続き、それぞれにぎっしりと美術品が展示されている。個人のコレクションでしょ、これ。日本じゃ考えられないレベル・・・

こちらで珍しかったのは、展示ケースに革の覆いがかけてあるアート。ちょっとした遊び心なのだが「どうぞめくってください」と書いてある。この中に、細かい美術品が収蔵されているのだが、めくるドキドキ感ってけっこう楽しい。

大広間では子供たちの研修が行われていた。こんなお宝の前で大胆に絵の具を使うのがすごい。

ウォレスコレクションの代表作品なのだろうか。パンフレットの表紙にもなっている「笑う騎士」。

こちらは昔のヴェネツイァを描いた作品。水の色が秀逸。

こっちは金の水差し。奥様が顔を洗うのにお使いだったのかも。こんなん使ったら顔が腫れる・・・w

こんどは緑のお部屋が出現

さて、赤い部屋に続いて緑の部屋。もう頭おかしくなりそう。でも、すごいカッコいい。グリーンとゴールドって素晴らしい調和。ハデだけどケバくない、お金持ちの本気の遊び、みたいなのが感じられる。

特に気に入ったタッセル。この可愛い模様!そしてこのお部屋の掃除が行き届いていることにも嬉しい驚き。

戸棚に収蔵されている書物も、やっぱり当時のままなのかしら。だとしたら、一冊ずつがすごい値打ちあるはず。背表紙をまじまじ見たけど、絹の装丁できれいなまま。こういうの本好きには嬉しいなぁ。

陶器のコレクションも極めて素晴らしい!美しいセーブル焼きにため息が出る。西洋陶器ならではの独特のブルーと金。中でもこれすごい!

「Ecritoire ‘à globes’」というインクスタンドなのだそう。このスタンドを使って書く手紙は、どんな言葉が綴られるのだろう。

オックスフォードサーカスへ

たっぷりとコレクションを堪能し、外はもう薄闇に。ロンドンの冬の夕暮れは早い。デパートを数件ひやかし、通勤帰りの人や買い物客でごった返す(まさにそれくらいここは人が多い)オックスフォードストリートをぶらぶらして、ホテルに帰る事にした。さすがに歩き回りすぎて足腰が悲鳴をあげている。

夕飯はインドカレーの持ち帰り

夕飯はデパ地下で買ったヴィクトリアンレモネード(ただのレモンソーダだった)とテイクアウェイのインドカレー。

ロンドン市内に何店舗かある「マサラ・ゾーン」がアールズコート駅前にあったので、基本のターリ(定食)をテイクアウェイにしてもらった。£7くらい。けっこうなボリュームだ。

カレーは選べるのでバターチキンを。それにサブジと野菜カレー、ダール、バスマティライス。チャツネ2種は美味しくなかったが、別途紙に包んでくれるパパドゥはけっこうなお味だった。

ちなみに、カレーが全く辛くないのはイギリス人の味覚に合わせたのだろう。こっちの料理はすべからくマイルドな仕上がりになっているような気がする。今度行くときはチリパウダー持って行くぞ(笑)