京都ごはんメモ:その1

京都で「なに食べる?」

「ごはんメモ」について

台北、香港、大阪、京都、東京、札幌、博多など、ブログにはあげてなかった飲食ネタを、だらだら貼り付けていくゆるいコーナー。溜めこんでいた情報なのでデータが古かった場合はご容赦を。

京都の飲食情報はあふれているが、意外と良い店を見つけるのは難しい。びっくりするような値段だったり、長い列に並ばないといけなかったり、何度トライしても予約が取れなかったり、一見さんお断りなんていう店もある。

そんなイケズな京都に博多から通いつめ、果ては通うのが面倒になって近所に引越ししてしまった私が、そっとおすすめする京都ごはん。どうぞ、レストラン難民になったときのご参考に…。

インドレストラン ムガール

京都市役所から東へ少し歩くと、いかにも京都らしい眺めの高瀬川に出合う。その川沿いの道が木屋町通り。幕末には、かの新撰組や薩長藩士も往来した、歴史本ではお馴染みの通りである。

京都でいちばん古いインド料理店

おそらく京都で最も古いインド料理レストラン「ムガール」は、その木屋町通りにある。ビルの通路を奥に抜け、階段を上がった二階。隠れ家のようなドアの向こうに、広々としたホールと、高瀬川を見下ろす大きな窓がある。

こちらのオーナー平田さんは1987年、学生時代にこの店を立ち上げた。背が高くてイケメンで語学が達者で話がおもしろい、ちょっと出来杉くんなのに嫌味がない素敵な方である。

そんな平田さんとインド人コックさんが作る、ムガールの料理。私のおすすめは、ダール(豆)のカリー。ランチではインド料理の代表的な豆であるムングダール(緑豆)、ディナーはムングダールに加えてダールマカニという、ラジュマダール・ヴラッドダール・チャナダール三種のミックスが用意されている。

ランチはとってもリーズナブル

写真はお昼のお得なランチセット。1000円(税別)から数種類あり、様々なオプションを付けることで、自在に組み立てられる。また、ナンかライス、さらにはヴィーガンやピュアベジタリアンの方も食べられるタンドリーロティから選べるのもありがたい。

ちなみに世間はナン好きな人が多いようだが、私は断然ライス派。しかもムガールのはランチでもちゃんとバスマティライス(長粒種)で、シャキッと炊けてて美味しい。

さらにはカレーの選択肢も6種類と非常に多く「本日の日替わり」としてインドの日常食であるサブジ(野菜の炒め煮)も味わえる。日本人の口に合わせてあるけれど、どれもしっかりスパイスが主張して個性的。定番のチキンもいいが、ぜひ知らない味にもトライしてみて欲しい。

サイドメニューに注目してほしい

なお、中央の赤いものは、ラッサムという酸っぱいスープで私の大好物。こればかりはライスでないと調子が狂う(笑)

カレーのナイスなサポーター。左はヨーグルトに野菜とスパイスを加えた「ライタ」。右はインドの辛いピクルス「アチャール」。これがあるとないとでは、全く満足度が変わってくる。

この他、豆の粉の薄焼き「パパド」も美味しい。本当はターリー(大皿)からカトリ(カレーが入ったカップ)を外に出して、ライスに砕いたパパドをわーっとかけて食べたいけど、びっくりされるのでガマンしているw

ビリヤニも絶品、ぜひお試しを

こちらはグランドメニューから「ビリヤニ」。ようやく日本でも定着してきた、インドの米料理。よく炊き込みご飯と思われているが、実際にはご飯とソースを重ねて蒸し、最後に混ぜるそうだ。(地域によってレシピがかなり違う)

ムガールでは2~3人前が1ポーション。私は無理を言って昼に出してもらったが、できればディナーの際に予約して、タンドールで焼き上げた美味しい炭焼きと一緒に味わってほしい。上品であっさりして、爽やかなスパイスが香る。見たらまた食べたくなってきた!

なお、ムガールのメニューは持ち帰りにも対応しているほか、通販でも購入できる。また、ヴィーガンの方用のメニューも充実しているので、本場インドの団体さんにもよく利用されているようだ。

「ムガール」ウェブサイト(通販もここから) >> 

いづ重

観光客でごった返す八坂神社の階段下に店を構える「いづ重」さんは、私が京都でいちばん好きな、それは美味しい「おいなりさん」を売っている京寿司の店である。

姐が京都でいちばん好きなお寿司

こちらは鯖の姿寿司で有名な、祇園の高級店「いづう」で修行された初代が暖簾わけを許され、明治末年、東山真葛原に店舗を構えたのが始まりだとか。今の店舗は昭和23年に移転し、観光客はもちろん地元の人にも愛されている。

私は鯖にアレルギーがあるため、姿寿司は食べられない。よって、毎度おきまりの「おいなりさん」、たまに海藻巻か箱寿司。なお、お寿司はお店の中でもいただくことができる。(ただし席数がごく限られている)

じゅわっとおつゆが溢れるおいなりさん

こちらのおいなりさんの特徴は、まず非常にジューシーであること。口に含むと、ジュワッと薄味の上品なお出汁がこぼれてくる。そして遠くでふわっと柚子の香りが。ああ、京都や。京都のおいなりさんや(心の声)

そして、噛むほどにプチプチと麻の実(おのみ)がはじけて、ごぼうのコクがしっかりと。さらに三種の香りの具が入り、あっさりしているのにディープインパクト。たぶん、一生このおいなりさんを買い続けて死ぬ、私は。

写真は拙宅で盛り付けた、おいなりさんと海藻巻に筍のお吸い物を添えたもの。ちなみにこのおいなりさん、本店の他に京都大丸と、京都駅の「古都みやび」でも購入できる。

また、10月半ば過ぎからは、竈で焙った九条ネギのはいった「大人のおいなりさん」も発売される。これがまた…絶品ですわ。買えた人はラッキー。ただし、おいなりさんは夏場の傷みやすい時期には販売されていないので要注意。涼しい時期だけのご馳走なのである。

六角堂茶処売店

烏丸近辺で、最も観光客がアクセスしやすいお寺と言えば、この「六角堂」ではないかいな。地下鉄「烏丸御池」駅5番出口から徒歩3分。「西国三十三所巡礼」の十八番目。正式な寺号は頂法寺(紫雲山頂法寺)だが、本堂が平面六角形であるため、「六角堂」の通称がついた。

雰囲気のいいお茶処で休憩

ここは聖徳太子が創建したと言われる由緒正しいお寺で、池坊が代々住職を務めることから「いけばな発祥の地」と呼ばれる京都の名刹である。

さてこの六角堂、縁結びにご利益があるとしてお参りされる方も多いだろうが、ぜひ「六角堂茶処売店」にも立ち寄ってみよう。干支にちなんだ小物や水晶のお守りなど、かわいい和小物が充実しているほか、茶処(売店となりのスペース)の真ん中にある、古い茶釜も必見である。これはかつて、ここでお抹茶をふるまっていた名残だ。

名物の「へそ石餅」つき

前置きが長くなったが、そのお茶処でお抹茶をいただいてみた。好きな椅子に座ってお姉さんに「よろしいですか」と声をかけ「お薄」を注文。名物の「へそ石餅」がついてくる。

へそ石餅とは六角堂の中にある「へそ石」を模したお菓子で、売店でも販売されている。あんこが入って、素朴なお味で美味しい。意外にも、と言っては失礼だが、このお薄が美味しかった。このセットで500円という、京都にしては破格の低価格。人も少なく、まったりできる。

京都の都心部ではお茶する場所にも困ることが多い。もしお抹茶と和菓子が好きならば、お参りついでにお寺の茶処で休憩はいかが。カフェで長時間並ぶより、よほど癒されるような気がする。

五六八

この店は紹介しようかやめようか、ずいぶん迷った。安くて美味くて人が少ない、京都では貴重な隠れ家なのだが、まあ私のブログなど過疎化しているので、人が殺到するわけもなかろうと思い、アップした。

三条の裏路地を入っていくと……

正直、店構えは古めかしい。中に入ると、もっと古めかしい。昭和チックな居酒屋で、おっちゃん二人で切りまわしておられる。7時すぎに来店したが、客は常連がぽつぽつ。静かに飲むには格好の場所だ。

この渋い、年代物のメニューからオーダー。数は決して多くないが、素敵なラインナップ。全部下さいと言いたい気持ちを抑えつつ、ビールを瓶でいただく。もちろんコップが小さい。いいなあ、いいなあ。

美味しいおばんざいをつまみに

出てくるのは、鉄板のおばんざい。これをおつまみに、ビールや日本酒を飲む。一人客でもまったくノープロブレムなほったらかし具合なので、「京都でひとり飲みしたいけど敷居が高いわ」という人にもプッシュ。

まずは「万願寺とうがらしの焼いたん」でスタート。間違いなく美味い。本来は夏の野菜だけど、冬に行っても置いてあった。ただし、いつ行ってもあるかどうかは不明。

これは厚揚げ。こんがり焼いて、出汁しょうゆ。どっさりとかつおぶし、ねぎ、大根おろし。たまらず日本酒の燗を注文。もちろん普通の安い酒しかないw

これも、おばんざいの鉄板「ぶり大根」。ようおつゆがしゅんでる(しみている)わ~。ぶりも脂がしっかり乗って美味しい。

これは「お茄子と鰊(にしん)の炊いたん」。鰊の濃厚な旨味をお茄子が吸い込んで、もうたまらん美味しい一品。こういう素朴でしっかりしたおばんざいが揃う店。ポーションが小さめなので、がっつり食べたい人には2軒目使いがいいかも。

なお、住所は京都市中京区石屋町126−2。小さい路地なので見逃さないで。ちなみにこの日は3人で飲んで食べて、ひとり2000円。おーきに。