本気の東北旅行は初めて
「どこでもマイル」で岩手ゲット
有給を使って3泊4日で岩手に行ってきた。航空券はまた例の「どこかにマイル」。JALがやっている「6000マイルで4つの候補地のうちどこかへ行ける」くじ引きみたいな特典航空券だ。
今回は狙っていた東北を見事にゲットし、人生2回目の岩手県。前回は出張で駆け足だったので、今度こそしっかり観光しようと地図を見たら…あれまぁ思ってたよりデカい。なんと北海道に次いで面積が大きく、ほぼ四国と同じ広さなんだと。
そんな広大な岩手県、県庁所在地は盛岡なのに、空港はうんと離れた花巻市。前回は東京から東北新幹線で行ったから気づかなかったが、この花巻空港、岩手各地へのアクセスが難儀である。
花巻空港から各地へのアクセス
まず空港から花巻市内に出たい人、盛岡にそのまま行きたい人。タクシーやレンタカーを使うのでないなら、どちらも乗り入れ航空会社のフライト時間に合わせて運行しているバスに乗ることになる。
【空港バスのルート】
花巻空港→花巻空港駅(降車のみ)→盛岡駅
盛岡駅→花巻空港駅(乗車のみ)→花巻空港
どや、シンプルやろw 注意点は「花巻空港駅」。ここでは盛岡行きの場合、降車しかできない。そして花巻空港行きは乗車のみ。一応JR東北本線なので「ここから鉄道で盛岡に行こう」と考える人もいるだろうが、本数が恐ろしく少ないうえに運賃がめっちゃ高くつくのでおすすめしない。
ちなみに空港⇔盛岡間バスの片道所要時間は約40分。料金は片道1400円、往復2500円。地図の中、水色で示したラインがバス路線である。(2018年7月時点)
★ここからは鉄ネタ(興味ない人は読み飛ばし推奨)
地図の中のオレンジ色のライン、これは「JR釜石線」と言って、その昔製鉄で栄えた海沿いの町、釜石へ行く単線だが、東北本線よりさらに電車の本数が少ない。ただし「SL銀河」というレトロな観光列車が毎週末に走っていて、その列車に限っては私のような鉄分の高い人たちの予約で埋め尽くされる。
これがお姿!うひょ~かっちょええ~~@鉄
当初私も予約しようと思ったけれど、SL銀河の花巻→釜石は土曜日に1本、釜石→花巻は日曜日に1本しかない。
片道だけ途中の遠野までSL銀河に乗って、普通の電車で花巻へ戻ってくる手も考えたが、本数が少なすぎて現実的ではなかった。単線だから仕方がないが、短期旅行者が「ちょっと乗る」のは難しいので、たっぷり時間を取って釜石の鉄博物館なんかを堪能する1泊コースがよさそうだ。
釜石の北側には東北のグルメ漁港として名高い「宮古」があるので、お魚好きの方は足を伸ばしてみては。なお、SL銀河のチケット予約にはJRの会員登録が必要。人気路線なのでぜひ早めにご手配を。>> ■
まずは花巻の市内へ出てみる
そんなわけで、飛行機を降りたらバス乗り場に直行した。小さい空港なのであっという間にロビーに出て、出口から左に行くと盛岡行きの特急バス乗り場がある。
チケットは空港内のバス案内所(乗り場に近い場所にある)でも買えるし、バスの中で現金で払ってもいい。ただ、往復券(割引になる)は案内所でしか売っていないので、先に購入してから乗り場に行くべし。
さてバス発車(と言っても私はすぐ降りる)。すでに方向案内板から宮沢賢治アピールが始まっているなw 交通アプリとにらめっこして決定した今日のルートは…
花巻空港 →(バス)→花巻空港駅→(JR東北本線)→花巻駅→(JR釜石線)→新花巻駅→(タクシー)→宮沢賢治記念館→(徒歩)→周辺施設散策→(徒歩)→新花巻駅→(JR釜石線)→花巻駅→(JR東北本線)→花巻空港駅→(バス)→花巻空港(乗り換え)→(バス)→盛岡駅
空港から花巻空港駅まで7分、210円。市内観光するならここから花巻へアクセスするわけだが、本当にちっちゃな駅。
券売機は一台。自動改札がなく、買った切符を持ってそのままホームへ行く。空港がここへ建設され、受け皿として作られた駅だろうけど、なんで東北本線と釜石線が乗り入れている花巻駅に直接バスを走らせないのかナゾである。
ここから花巻駅まではあっという間。次は釜石線に乗り換える。花巻駅もそんなに大きな駅ではないが、ホームには花巻の名物「鹿踊り」が飾られ、旅情をさそう。
乗ってみたかった「釜石線」♡
花巻駅からは、SL銀河の走る釜石線に乗り換える。釜石線は時間帯によっては1時間待ちもあるので、緻密なスケジュール作りが必要だ。車両は東北の電車に多い「ボタンを押してドアを開ける」タイプ。田んぼの景色を楽しみながら数分、最終駅「新花巻駅」に到着。
これが「新花巻駅」の駅舎。新幹線が止まる駅だけに、それなりの建物ではあるが、この駅もなぜここに作ったのか不思議である。旅人にとっては花巻駅からも空港からも便利が悪いのだが、まあいろいろと地元の理由があるのだろう。
ところで、新花巻駅の駅舎は2つある。新幹線が止まるほうの大きな駅舎の横に、いま私が乗ってきた釜石線の駅舎…というか屋根がついたホーム?地下道を通らないと外に出られない構造になっていて、初めて来た人は戸惑うかもしれない。
新幹線の駅舎とクロスするように、ひっそりとたたずむ釜石線のホーム。
新幹線の駅舎に向かって右側にある階段から地下道が続き、上がったところが釜石線のホーム。券売機は待合室の中にある。単線なので上りも下りも同じホームから乗り降りする。車両の数によっては開かないドアがあるそうなので、階段前の看板をよく読んでおこう。
宮沢賢治記念館
ロマンチックで忘れがたい場所
新花巻駅から、タクシーで「宮沢賢治記念館」へ。花巻は宮沢賢治の出身地で、新花巻の西側にケンジな世界(資料館関係)が固まっている。駅からバスもあるが、ほぼ観光には使えない頻度なので、私は行きはタクシー、帰りは徒歩でアクセスした。なぜ行きをタクったかというと、小高い山の上にあるからだ。帰りは20分ほど坂を下れば駅に着く。
タクシーが止まったところが、記念館の入口。ふと横を見ると、熊出没注意の看板が!そうだ、去年一関に行ったときも「何キロも離れた山から、町まで熊が下りてくるのよ~」と言っておられた。岩手県の熊出没数は全国でもトップクラスだ。記念館のある場所はすぐ横が森だが、決して中に入っていかないようにしよう。
エントランスからしばらく歩くと、建物が見えてくる。もう、入る前からこの猫たちにワシッと心をつかまれる。誰かと一緒だったら、間違いなくここで記念写真撮ってた。
賢治ファンにはたまらない手書き原稿
施設内は、規模こそそんなに大きくないけど、いっぱいに宮沢賢治の世界が詰め込まれてファンタジック。主には手書きの原稿。そして宇宙や農業など、世界観を膨らませた展示物。ファンにはたまらんだろうが、宮沢賢治をあまり読んでない人はちょっと辛いかもしれない。
館内に休憩室があり、そこが展望台にもなっている。
花巻の町を見下ろす小高い丘の上。6月の緑は目にまぶしいほどで、じっと見ていると童話が生まれてきそうな気分になる。紅葉の秋や、雪の季節はまた違った風情だろう。休憩室横の小部屋では、この森で採取される木の実や葉っぱも展示されている。
ランチは「なめとこ庵」でお蕎麦
手打ちそばの人気店、外観も素敵
さて、岩手一発目の美味しいもの。ぜひ郷土料理を堪能したい!
と言っても宮沢賢治エリアには選択肢はそう多くない。歩きで行ける所は数件。その中で、花巻の特産品である蕎麦が食べたくて、記念館から山道を下ったところにある「なめとこ庵」へ訪れた。
店名はもちろん宮沢賢治「なめとこ山の熊」からである。民芸調の造り、ぽつんと置いてある赤いポストがかわいい。まだ正午になったばかりでお客さんは少なかったが、12時半ごろには車で乗り付ける人々がたくさん。地元でも人気のある店らしい。
水彩画のメニューがかわいらしい。一番人気は天ぷらそばらしいが、揚げ物が得意でないため、シロメ大豆を使用した「納豆おろし蕎麦」をいただくことにした。
シロメ大豆の納豆おろし蕎麦
しばらく待って、おそば到着。
手打ちでしっかりしたコシのあるお蕎麦。とても美味しい。納豆は思ったより大きくて、粘りが少なく納豆と言うより煮大豆のような感覚。うずらの生卵がついてくるので、好みで加えてつるつると。
量としては少なめなので、男性にはちょっと物足りないかもしれないが、私はこれくらいでOK。〆に蕎麦湯をいただいて、ごちそうさま。
この近所にもう一軒、美味しんぼにも登場した遠野の特産品、ぴりっと辛い「暮坪かぶ」の蕎麦を出す店があり、今度はそちらもかぶの旬を狙って行ってみたい。
無料で見学できるイーハトーブ館
エントランスへ向かう風景が素敵
「なめとこ庵」を出て、目の前の国道を右に進めば花巻駅、左に進むと「イーハトーブ館」がある。
ここは入場無料の施設で、宮沢賢治に関する文献を集めた図書室や、催し物が開かれる映像ホールなどがある。この日は1階のホールで版画の展示が行われていた。
入口にはちょっとしたショップとお茶コーナーも。エントランスの横に宮沢賢治シルエットのオブジェがあり、記念撮影によさそう。
帰りに近道らしき階段を発見
その後、来た道を反対に引き返し、今度こそ駅へ。途中、記念館から国道につながる階段を発見した。
行きはタクシーだったので気づかなかったが、たぶん記念館ゲート前の広場から下りてこられたのかな。そうとは知らず山道をぐるんぐるん下りてきてしまった。
駅へ向かう途中、コンビニの駐車場に「グスコーブドリの伝記」アニメ版の兄妹を発見。花巻は町のあちこちに宮沢賢治が生きている。