憧れの「ジャングル探検」やってみた!

本物のジャングルへ!ドキドキ

こちらは2011年の記事を再掲しています。現在とは情報が違う部分がありますので、予めご了承ください。

KKで絶対に「経験するべき」ものは、何と言っても熱帯雨林のジャングルだ。もちろん美しい海や史跡もいいが、独特の生態系を有する雄大なジャングルは、世界でここにしかない希少なものである。

中でもこの日向かった「ガラマ川」は、ボルネオにしか生息しない「テングザル(Long nose monkey)」が観察できる、人気の観光ポイント。空港からホテルについたその足で、3時間弱バスに揺られてたどり着いた。

ジャングルは動物園じゃない

ガイドのケリーが「動物園じゃないから、全て自己責任で。動物が見られるかどうかは、貴方たちの運次第」というように、ここは船着場こそ設えてあるが、天然のジャングルを縫うように流れるガラマ川の支流があるだけ。そしてその先には未曾有の自然を抱えた熱帯雨林が広がる。お気楽なレジャーパークではないので、ケガや虫刺されなどは自分で何とかできる人だけどうぞ。

長いボードウォークを経て、ボート置き場へ。すでに午後4時くらいで気温こそ真昼よりいくらか低くはあったが、むせかえるほど湿度が高い。熱帯雨林の特徴だ。

ここでいったん休憩&トイレ。お茶とローカルおやつが振舞われた。

手前はバナナの葉で米と何かの肉を巻いて焼いた、ちまきのようなもの。名前は不明。奥はバナナのフリッター「ピサンゴレン」。


さあ、休憩したらいざジャングルへ。基本的に長袖、長ズボン、日焼け止めと虫除け、サングラスと帽子、首にタオル。靴もスニーカーをはいてきた。サンダルの人もいるけど、小さいボートだし万全の備えで臨みたい。

きええ~、野生のワニが出てきた!

いよいよ桟橋から乗船。二手に分かれるというので、二人いるうち英語のうまい方のガイド(ケリー)を選び、ロンリープラネットのライターをしているという、8ヶ国語を喋るアメリカ人とつるむことにした。お陰でガイドと我々、3人でわーわー盛り上がり、マニュアルの案内だけでは出てこない、ジャングル裏話などど満載の、かなり面白いクルーズになった。

ちなみにこういう場合、ポジションは帆先を推奨する。船の観光ではここが一等席。誰かに遮られない風景が見えるし、モーターから遠いので振動が少なく水がかかりにくい。さっさと確保するが勝ちなのである。

もちろん、乗客は全員ライフベスト着用。この日は中国の人が多かったが、初めてライフベストを見るようで、記念写真を撮っているのが面白かった。

…と、ここで一発ハプニングが!

ケリーが「静かに!」と客に注意を与えると同時に、なんだか近くの水面がゆらゆらしてきたぞ。

やがて水面に泡が立ち、上がってきたのがこいつである。…なんと、クロコダイル!

ワニってもっと小さいイメージあったけど、近くで見るとでかい。長さは車一台分くらいだろうか。さすがに動物の本能として、「食われる側」の恐怖を感じた。

ジャングルの集落も見学できる

途中、村人500人が今も暮らすというジャングルの集落を見た。生鮮食料品が届かないので、船で毎日船着場まで通うという。それでもこの密林に暮らす意義があるのだろう。

動物もいっぱい見た。ジャングルの中には、色々な種類の猿が生息する。テングザルか?と思って見上げたら、こちらは「シルバーモンキー」。その名の通り銀色の毛に包まれ、髪型はなんとモヒカンだ。

この時期は赤ん坊を抱えているメスが多く、運がよければお人形みたいな可愛いベイビーモンキーが観察できる。

いよいよテングザルの登場!

船がどんどん奥地へと入り、ジャングルの密度も高まってきた。船着き場とは違う感じの木も多くなってきて、気がついたらテレビで見たジャングルの光景になっている。

木の上に立派な鼻のお猿さんが

その時、ロンリープラネットの彼が「We made it !」と叫んだ。木の梢にわずかに透ける空間、そこを茶色い物体が横切る。待ちに待った「テングザル」だ!

50ショット近く追いかけて、やっと下の一枚を得られた。すごい!テレビで見た、あの鼻だ。

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これが、テングザル。一匹の強いオスが10匹ほどのメスをハーレムに抱える。縄張り意識が高く、オスは常に自分のポジションを守っているそうだ。残念ながら、年々その個体数は減っているそうで、ぜひ世界が手を組んでジャングルの保持に努めてほしいと願う。

水牛と夕陽のロマンチック

猿をおいかけまわしているうち、ボートは折り返し、今度は高速走行で船着場へ走る。その途中、刻々と日が落ちてゆくジャングルの川の表情を楽しんだ。野生のバッファローも、そのひとつ。ワニがいる川を集団で渡る。ちゃんと溺れない深さを計算しているのだろう。野生は賢い。

やがて、ガラマ川に夕刻が迫ってきた。真っ青なコバルトの空が、西から茜色に染まり始め、雲が金色に輝きだす。まるで一服の絵を見ているようだ。我々一行も、しばし川面にたゆたい、その光景に見入った。

そして、サンセット。鮮やかな夕陽のオーラが世界を凌駕する。ナチュラルハイとは、まさにこのこと。全身がオレンジ色に染まってしまいそうだ。

「神々しい」という表現がまさに相応しいこの刹那を、声もなく皆で拝んだ。一生この色彩は私の記憶に残るだろう。

夕ご飯はナシ・チャンプル

やがてボートが船着場にもどり、ライフジャケットを脱いで夕食前の休憩。いつのまにか気温が下がり、空はこんなに明るく、絵のような雲に彩られているのに、照明のない足元には闇が忍び寄っている。

小屋の中から食べ物の匂いがして、痩せた子猫が集まってきた。彼らも夕食の時間というわけだ。さあ、私のテーブルの下においで。

料理はマレーの家庭料理。野菜の炒めや、チキンカレー、煮込み料理やフルーツなど。基本的に米(ナシ)と一緒に食べるものなので、日本人になじみやすい味わいだ。食べ方は、ご飯を盛った上におかずと汁をかける。これがマレーでスタンダードな「ナシ・チャンプル」。日本で言うと、どんぶりみたいなものだろう。

この後、まるでクリスマスツリーのように、木に群がるホタルを鑑賞した。(と言っても船着場に群生しているのだが)暗い川べりで、足がちくちくしたのは、はたして蚊だったのだろうか。

以上でジャングルクルーズは終わり。ホテルに帰ったのは何と11時近かった。ツアーバスはとんでもなく冷房が効いているので、参加する際は羽織るものをお忘れなきよう。