小岩井農場で、見学ツアーに参加
わが国最大の民間総合農場
岩手の観光名所と言えば「小岩井農場」。盛岡から西へ車で小一時間、岩手郡雫石町と滝沢市にまたがる、日本で最も規模の大きい民間総合農場だ。「おお、これぞ岩手!」と思ったが、実際には本社は東京にあるらしい(がっくし)まあ、あれだけ大企業になればねぇ。
小岩井農場の歴史は明治21年、当時の鉄道局長官、井上勝がこの地を訪れ、荒れ果てた土地に大農場を拓くという、かつて誰も抱いたことのない夢を抱いたのが始まりなのだそうだ。
その壮大な夢に乗っかったのが、三菱の二代目であった岩崎彌之助、そして彼ら二人を引き合わせた小野義眞。この3名の名前をコラボして「小岩井」になったのは有名な話。
さて現在ではすっかり整備され、一部の敷地が観光農場として公開されている小岩井農場。盛岡駅からは10番のバス停からカンタンに行ける。ただし本数は少ないので事前に調べておいたほうがいい。
※岩手交通のリンクを貼っていましたが、変更が多いので削除しました。行く直前に調べる方がいいと思われます。
入場したら、真っ先にツアーへ申し込み
降車バス停は「小岩井農場まきば園」。だだ広い農場の一角のみではあるが、それでもうわーっというほど広い。チケットを買ってゲートを入ると目の前に岩手富士(岩手山)が見える…はずだが、この日は曇りで見えず。残念。
ゲートを入って、真っ先にやるべきことがツアーの申し込み。先着順なので、車が満員になったら次のツアーを待たないといけない。各ツアーは一日数回しかチャンスがないので、ぜひ急いで希望の時間帯に申し込もう。なお、ツアーは旅行商品扱いになるので簡単な書類の記入が必要。私は2つのツアーに申し込んだ。
この首から下げるタグがチケット代わり。赤いでっかい車は、トラクタートレイン。この車で森の中を進むのじゃ。
ツアーの集合時間まで少し時間があったので、売店で濃厚なミルクのジェラートを買ってみた。ソフトクリームやカップアイスもあるが、なんかいちばん素材が生きてるかしらと。
さすがに新鮮なミルクを使っているのだろう、しっかり濃い。その風味に惹かれたのか、てんとう虫もやってきた。きっとカブト虫かクワガタもいっぱいいるだろう。元・虫取り少女としては興奮するな~
まずは「重要文化財コース」へ
いよいよバス乗車。「ガイド付きバスツアー小岩井農場めぐり」の中の「重要文化財コース」に参加。私が行った時から1コース増えて、今は「賢治と小岩井農場コース」が新設されたらしい。
農場内そこかしこにある歴史的建造物をまわるコースで、なんとこの回のツアーは私だけ!ガイドのお姉さんに「フフッ、貸切ですよ」と囁かれ(おもしろい方だった♡)申し訳ない気持ち半分ラッキー半分でいざ出発。よくぞ風雨に耐えてきたなという建物が、現役で残ってるのがすごい。
上は学校だった建物。小岩井は巨大な敷地内に多くの人が働いているので、家族で農場に住んでいる人が多かった。そのため農場内に学校があり、その卒業生が今も働いているそうだ。いやー、ここは子供にとっては環境いいよね。
こちらは日本で始めてエレベーターがついた建物。最先端をいっていた小岩井農場なのだ。
レンガだけでも歴史的価値がありそうなサイロ。もちろん現役です。
その他、牛さんたちの飼育小屋、搾乳室も回って、なかなか濃厚な内容。上の写真は、天然の氷室。これは国会議事堂と同じようなベンチレーションが導入され、まさに明治大正の最先端ここにあり。
「トラクタートレインでいく自然満喫ツアー」
歴史建造物めぐりが終わったら、ちょうどいい感じで次のツアーへ。今度はこのでっかいトラックに乗って林の中へ。小岩井の自然を満喫する。
ちょっとだけ岩手富士が見えてきた…けど、やはり雲がジャマ~
ツアーは森林や農作物など、乳業以外の小岩井のエリアを紹介する。乳業のイメージの強い小岩井だが、実際は林業が重きを占めるのだ。特に杉林は面積が広く、建材として日本全国で使われている。若い木もたくさん見たが、それらが成長した頃には私はもうあの世の人であろう。
山麓館農場レストラン
さーて、ランチタイム!小岩井農場は飲食物持ち込み禁止なので、中の施設で食べることになる。チョイスはおおまかに言うとジンギスカンかオムライスである。肉じゃ~という人はバーベキューハウスへ。洋食がいいわという人はレストランへ。私は夜のことを考え、お腹に負担が少なそうなオムライスを単品で。
こちらが名物のオムライス。農場にいっぱいいる鶏が産んだ卵は確かに美味しい。それをふわふわのオムレツにしてライスにかけた今時のバージョン。(おばちゃんは薄焼き卵で巻いて欲しい派だが)まあお味は美味しいんだけど…中のご飯が白い。牛乳で炊いたミルクライスなんだそうだが…これはちょっと違和感があったかも。
あとはピザや麺類もあったが、ほとんどの人がオムライスを食べていた。バーベキューハウスでは卵かけご飯も食べられるそうなので、今度行ったらそれにしてみようかな。
「海ごはん しまか」で海産物祭り
外は魚屋、中はワインバー的なギャップ
盛岡最後の夜は、人気の居酒屋さん。
「海ごはん しまか」という名前だし、店の前にはトロ箱が置いてあるし、てっきり漁師系の「っっっらっしゃいませぇぇぇ」かと思いきや。
流線型のカウンターでお高いワイン飲んでるカップル多し。うぉ、おばちゃん浮くわ。こんな洒落系だったのね。店員さんも若いイケメンばっかしだ。その中でお一人、ファニーな笑顔を振りまくおじさまがオーナーだろう。
メニューを吟味すると、少数精鋭。ワインより日本酒にがっつり焦点を当てた、ひとひねりある魚料理が実に美味しそうだ。
暑くて喉がカラカラだったので、生ビールの小サイズをいただく。「すごく小さいよ」と言われたが、日本酒の前にはこれくらいでいい。「かーっ」と親父くさく一気飲みしていたら、付き出しが出てきた。おお、これはフレンチ?
「冷製スープと鮪のパイ包みです」とのことで、まずはスープを。うむ、これはヴィシソワーズ的な何かだ(おい)、そしてパイの方は中身が鮪の煮付け。斬新であるが煮付けのまま日本酒でいただきたい旧式大和民族。
いい酒が揃ってる、松の司がある
刺身の盛り合わせを注文したので、とっとと日本酒に切り替える。この日のリストはこんな感じ。何がよいかと言うと、滋賀県の銘酒「松の司」がオンリストしてるところだ。あんまり市販されていないけど、ここの酒は本気でうまいよ。某酒屋さんのツテで試飲会に行ったこともある。
まあ「松の司」はいつも飲んでいるので、ここでは岩手の酒をいただく。「酔右衛門(よえもん)」という花巻市「川村酒造店」の酒である。すっきり淡麗、ふわっとフルーティーで飲みやすく、かなりの低温でも甘みがヘタレてない。どぎつくないので、飲みなれてない人にもよさそうだ。
珍しいマンボウの刺身も食べたよ
いいタイミングで刺身盛り合わせが運ばれてきた。ネットの評判ですごいボリュームだということであったが、量はさほどない。盛り付けがいわゆるインスタ映えというか、非常に華やか。特徴としては一切れがでかい。ホヤなど半身そのまま出てきた。
オーナーさん「お醤油でもいいし、煎酒でも美味しいよ」とのことで、両方いただいてみる。実は牡蠣のある場所は本来サバが乗ってるはずだったが、私がアレルギー持ちなので変えてくださった。ありがたや(美味しい牡蠣でした)
ちなみにコレ。オレンジ色の花が乗ってるグラスに入ってるお刺身・・・なんだと思う?
実はこれ、マンボウ!
食べたことなかったので興味津々。お味はイカをとろっとさせた感じで、とてもあっさり淡白。噂ではあんまり美味しくないとか、身がもろいので手で裂くとか聞いてたけど、思ったより食べやすかった。
貝の蒸し物に、どっしりした日本酒で
2杯目のお酒は「堀米」。これは下戸の蔵元さんが自家栽培の米で作ってる、けっこうレアものらしい。しっかりしたコクがあって、焼き物や煮つけにも負けない男っぽい酒。これはキンキンに冷やすより少しだけ冷えてるくらいの方が美味しい気がした。
「しゅうり貝」というムール貝に似た貝と、帆立っぽい「赤皿貝」。それぞれ単品でメニューに載っているけれど、半々もオーダーできる。
「アツアツだから気をつけてね~」とやってきたお皿には、美味しい季節の野菜が盛り付けられて、これもまたすごく美味しい。味つけは薄めなので、関西人の私には嬉しいかぎり。
他にも気になるメニューがいっぱいあったけど、一人だとなかなか品数が食べられないのが残念。次はぜひ焼き魚にもトライしてみたいな。
飲んで食べて、さてお勘定は5,000円。太っ腹のオーナーさんが80円まけてくださったのだ。「ここらは危険じゃないけど、気をつけて帰ってね。なんか言われたらここ戻っておいで」と見送ってくださり、いい夜だった。盛岡の人たちは優しいのよ。
そしてこのお店、なにが最高かというと飲み屋さんなのに「完全禁煙」。これは評価高い!皆さんも、盛岡で美味しい魚を食べるならここへ。