カーサ・ロッサーダと甘いタンゴの夜

エヴィータのロケ地、薔薇色の館

映画「エヴィータ」で、大統領夫人エヴァ・ペロン(エヴィータ)役のマドンナが、このテラスで「アルゼンチンよ泣かないで」を歌ったシーンをご覧になっただろうか。よい評判も悪い評判もある薄命の美女だが、この鮮やかな薔薇色はいかにもエヴィータのイメージである。

アルゼンチン大統領官邸、La Casa Rosada

スペイン語で「ばら色の館」という意味を持つ、「カーサ・ロッサーダ」。ブエノスアイレスの中心部、観光客が集中する「五月広場(Plaza de Mayo)」に面して建つ。この地を訪れる人の大半が目にする、アルゼンチン大統領官邸である。

もとはコレオス宮殿(Palacio de Correos)であったものを改築し、大統領官邸として使用されることとなった。別棟にはカーサ・ロッサーダ歴史博物館もあるとりあえず眺めて「ほほう、ここが」と映画を思い出し、五月広場でまったりした。ここらは警官がいっぱいで安全、休憩するにはいい場所だ。

同じく五月広場の北側にある、メトロポリタン大聖堂。こちらは工事中でせっかくの姿が台無し。ちなみにこの広場の名前は、アルゼンチン独立のきっかけとなった、五月革命に由来している。

カフェ・トルトーニにてチケット購入

五月広場から少し歩いて「カフェ・トルトーニ(Cafe Tortoni)にやってきた。どんなガイドブックにも書いてある有名店。ブエノスアイレス最古のカフェらしい。

クラシックで素敵な店内でお茶を…と考えている人はきっと多いだろう。しかし、見てこの行列(笑)昼間はいつ行っても並ばないと入れない。

そんな中「はい、通りまっせ」と列をかきわけ中へ。だって私はチケットを買いに来ただけなのよ。このカフェでは毎晩タンゴのショーが開催されるのだ。黒服のお兄さんに「タンゴチケット」と告げると、ドアを開けて通してくれる。

この店の前におられるおっちゃんは、有名なタンゴ歌手らしい。

店に入ってまっすぐ進み、奥の左手にチケットカウンターがある。と言っても、マダムがお一人で座ってらっしゃるだけだが。

トルトーニのタンゴショーは20時から。ネット予約はできず、来店して当日または翌日のショーチケットを買う。販売時間は2時過ぎから開始1時間前まで。忙しい観光の最中だと時間の調整がけっこう難しい。

なお、チケットのお値段は600ペソ(2000円弱)。普通のタンゴシアターが1万円以上するのに比べると激安だが、カフェなので本格的な舞台装置などはない。そしてみんな飲み食いしながらショーを楽しむ。一人旅ならその方が気楽でいい。

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さあ、甘い甘いタンゴの誘う夜へ

夜が更け、ちょっとスカーフを巻いて精一杯のおしゃれをして、赤い口紅をつけてタンゴ・ナイトの始まりである。ホテルからは地下鉄で出かけたが、まだ8時前はほんのり明るいため、そこまで物騒な感じではない。

薄闇にそびえるオベリスク。都会と野生が入り混じる、そんなブエノスアイレスの空気がたまらない。

「ラ・ボテガ」という名の地下劇場へ

店に着き、タンゴショーの客だと告げると地下に案内される。店の真ん中、マダムのいた場所より手前に「LA BODEGA」と書かれた看板があり、そこが劇場の入り口になっている。意味は酒蔵、あたりだろうか。秘密酒場のようでわくわくする。

席はど真ん前のど真ん中。アメリカ英語で会話するスイス人のグループと相席になり、「一等席だね~」などとおしゃべりしつつ、飲み物をオーダー。メニューにはワインやカクテル、サンドイッチにデザート、そしてなんとステーキまで。ファミレスばりに何でもある。しっかり食事もできるが、その場合は少し早めに来た方がいい。

私は赤ワインとチーズを。昼間に肉をたらふく食べたので一向にお腹が空かない。なのにこの山盛りチーズよw 食べきれないのでスイス人とシェアした。

タンゴのなまめかしさにくらくら

舞台はこのようなセッティング。ほぼ装置はなく、最大6人のダンサーが所狭しと踊りまくる。それをかぶりつきで見られた、この幸運に感謝したい。

ここからはピンボケ申し訳ない。暗い上に照明がチカチカし、そこを高速で移動するダンサーを、スマホのレンズでは押さえきれなかった。

女性ダンサーは、かなり露出の多いコルセット&ガーター姿でセクシー…哀愁漂うタンゴの調べにのせて、男と女、人生の哀しみや情熱を綴っていく。「ああ、タンゴって演歌に似てるのね」と思っってしまった。

このアジア系の女性ダンサーは、素晴らしいプロポーション。肌もすべすべで、女性の自分が見てもしびれる美しさだった。男性も南米らしい濃い顔立ちで、まあ二人がきわどく接近すること~(笑)最後はご存知「ラ・クンパルシータ」。しびれる!

この彼は山田孝之そっくりw いちばんダンスのキレがあった。歌手の生歌もすごかった。さらにはパフォーマーの演技も。ドキドキしながら目をおっぴろげて見てるうち、予定の1時間半なんてすぐ終わってしまった。

そそて飲食のお会計。ワインのハーフボトルとチーズで330ペソよ、1000円!申し訳ないから可愛いウェイターさんに多めに握らせてきた(おばちゃんスタイル)いやー、楽しい夜だった。最高~

帰り道のオベリスク界隈。明るいし、子供がまだ遊んでるし、聞いていたような殺伐とした雰囲気はない。それでも一歩裏路地に入るとムードが変わる。もし夜に出歩くなら、表通りの人が多いところ限定にした方がよさそう。できればホテルに電話をして店までレミースを呼んでもらうのがベスト。