遺跡の島「ゴゾ」へ渡る(前半)

「ゴゾ島」へワンデイトリップ!

昨日の旅行代理店前に8時集合。今日はきっちりボディに「Oasis Tours」と書いたバンが来た。当たり前だけど、昨日のことを考えると物事が予定通りに進むありがたみを感じる。日本ではなかった感覚だ。

同行の乗客は15名くらい。私の他はイギリス人の親子、フランス人のカップル、あとは全部中年のイタリア人というヨーロピアン軍団。アジア系は見事に私だけ、しかも女の一人旅とあって浮きまくりではあるが、取りあえず車番号のシールをシャツにペタッと貼って(これが迷子札がわり)、港へGO。

島の北側の港から船に乗って

今日の港は昨日バスが発着したスリーマ港ではなく、マルタ島北部にあるCirkewwa(チルケイワ)から、フェリーに乗ってゴゾ島へ。港ではもうフェリーが大きな口をあけて、待ち構えていた。

ゴゾ島はマルタ島の北部にあり、かなりの頻度でフェリーが発着している。観光目的の他に物資の輸送や、通勤客のためでもあるのだとか。船内にはカフェテリアや売店もあるけれど、お子様体質の私は強風の中ベスポジ目指してダッシュ。まんまと先端部分をゲットした…しかし、このあと悲劇が。

なんと波が荒いため、帆先でブレイクした海水が、弧を描いて頭の上からドパーン!日本人なら固まるハプニングに、拍手喝采で大喜びしてるのが、いかにも欧米だなぁと(苦笑)

ゴゾ島上陸後は地元のおっちゃんツアー

ゴゾ島上陸後は、島の旅行社にバトンタッチして車を乗り換え(乗車メンバー変わらず)、巻き舌のおっちゃんドライバー(マルタ英語は訛りがキツい)の案内で、シャーラというエリアを目指すことに(と聞き取れた)。その中で特に印象的な建物であるらしい、「Ta’Pinu Basilica(タ・ピーヌ・バジリカ)」教会が、最初の訪問地だ。

この通称「タ・ピーヌ」は、なんとあのヨハネパウロ2世も訪問したことのある教会なのだそう。郊外の草原の中に、ぽつんとそこだけ浮き上がるように佇む、その姿は童話のワンシーンのようなファンタジックなムード。

このタ・ピーヌ教会は別名「奇跡の教会」とも呼ばれているそうで、この近くでマリア様の声を聞いた農婦が、病気を治癒させる不思議な力が備わったことから、その名がついたのだとか。

実際、教会の中には人々からの感謝の手紙が壁中に張り巡らされ、なんとアメリカ同時多発テロで、ワールドトレードセンター内部から不思議な声に導かれて脱出し、命を救われたという感謝状も!いきなり最初からワンダーワールドに迷い込んでしまった。

マニアックで楽しい「アーブ民族博物館」

次に訪れたのが、「The Għarb Folklore Museum」(アーブ民族博物館)。ガーブと書いてアーブと発音するもよう。先ほどのタ・ピーヌが島の中心のシャーラのやや北、アーブはさらに北側になる。ここは、ツアー料金とは別に入場料(確か5ユーロ程度)が必要になるので、入らなくてもいいよとの事だったが、もちろん入る。こういう小さな博物館ほど、面白いものはない。

展示物にタッチしても怒られない

パンフレットによると、この私立博物館には28の部屋があり、18世紀前半の歴史的なコレクションが展示してあるとか。もとは個人宅で、蒐集物も個人所有のようだ。当時のゴゾ島の様子が、どんな書物よりもリアルに体感できる、非常に面白いスポットだと思った。何より、道具に触れるのがいい。

特にこの馬車の座席などは、そこに座っている貴婦人の姿が想像できそうな、鮮やかな色彩を残している。かつては金であっただろうキルティングのクッションや、赤で彩色された車輪を見ていると、当時の職人がどれほど丹精込めて一台の馬車を作ったか、息遣いが聴こえてきそうな気がする。

また、小さいが美しく整えられたパティオや二階のバルコニーなど、建物自体も一見の価値がある。

自然が生んだ奇跡の景観「Azure window」

2017年3月8日、長年の風波の影響により「Azure window」は崩壊しました。この記事は2010年の記録です。

次は、西の海岸線をぐっと南下して、ゴゾの一番の名所である「Azure window(アズーレウィンドウ)」へ。ここは熱くおすすめしたいので、写真多めで!

この世のものとは思えぬ風景

まずはこの写真を見て欲しい。この向こうに見えているのがドウェイラ湾。駐車場を降りた瞬間から、その景観には驚きの連続だった。サンダルでは歩くのが怖いような、岩ボコボコの海岸に、白波が打ちつける音、そして右前方にそそり立つ巨大な岩!

いや、岩ではなく島の大地と言った方が正確だろう。マルタやゴゾの地盤は岩石で出来ているので、至るところで自然の影響による侵食が起きる。アズーレウィンドウもそのひとつ。

写真で男性が立っている場所、ここは完全に海水をかぶる。この撮影をしている私の手元まで、しぶきが飛んでくるのだ。それほど自然のパワーは凄まじい。ちなみに、このアーチは、高さ20m、幅100mもあるが、頂上まで波が吹き上がる。その侵食で、この奇景が生まれたのだ。

さらに、その周りの風景も、この地でしか見られない独特のもの。さきほどの岩だらけの光景を先へ進むと見えてくる「ファンガス・ロック」や、手前の「マッシュルーム」と呼ばれる平らな岩。海中にもこれらのような岩が沈んでいるので、船は迂闊に接岸できない。

えっ、海水の色が2色に分かれてる!

また、海水の深度などによって、海が二色に分かれるのも、この海域の特徴だ。この写真は、特にクッキリ分離していて、見ているだけで不思議な気持ちになる。

さらに不思議なのが、「Inland sea」と呼ばれる陸地の海。海水が岩を浸食してトンネルを作り、陸地の一部に海のプールが出来た状態を言うのだそうだ。

とにかく、強烈なインパクトのアズレウィンドウとその海岸線。いつまでも散策していたいような気分だったが、集合時間のためバスへ。冷たい突風が吹き荒れる中、アイスクリームを屋台で買って、同乗のイタリア人おじさんが嬉しそうに食べていたのには、つい笑みがこぼれた。

港町シュレンディでランチタイム

次に向かったのが、「Xlendi」(シュレンディ)。ゴゾ島西にある港町で、何軒かのシーフードレストランやカフェが営業している。

バス一行はここで昼食を取る予定で、ツアー予約時にプラス9ユーロで3コース(三品から成る)ランチをセットできたけど、それは断った。お仕着せのレストランより、自分で店を選びたかった。ただそれだけだが、他のメンツは全員9ユーロランチに行ったので、私だけ別行動。きっと変なアジアンと思われているだろう。

入江を見ながらピッツァと洒落こむ

それにしても、この街は笑えるほど狭い。港の突堤に洞穴があり、それを囲むように4~5軒のレストランやカフェ。あとは土産物屋とジェラテリアでおしまい。

島の東側には「Marsalfon」(マルサルフォン)という、もう少し華やかな港町があり、シーフードグルメはそちら側に多いらしい。ちょっと残念な気もするが、ここだって海の町。きっと美味しいに違いないと信じて、「churchil」というピッツェリアに入ってみた。

イケメンのお兄さんに許しを得て、外の席に陣取り、ナポリターナ・ピッツァを注文。ずっとマルタに来てガチのイタリアン食べたかったので、期待に胸膨らませていたら…あら?

ちょっとこれ、チーズほとんどかかってないけど?ナポリ=マリナーラのことかな?ていうかソースもあんまりかかってなくて乾いてるw そしてなぜお兄ちゃんがケチャップを置いていくの?ww

数々の疑問を抱えながら、それでもナイフでパリパリ(せんべいみたいに固い)切って、ぱくり。うーむ、やはりチーズの風味はわずか。ちゃんとメニューにはモツァレラって書いてあったけど、やたらケッパーが多くて塩辛い、あんまり美味くないピッツァに当たってしまったもよう。

これなら東京で食べた方がよっぽどいいので、半分残してゴチソウサマ。お代は飲み物とチップ合わせて16ユーロ。9ユーロランチにすれば良かったかな(笑)(後半へ続く)