忠烈祠と故宮博物院~士林夜市

忠烈祠と言えば衛兵交代式

この旅行記は2012年の記録です。そのまま再掲してますが、今と少し情報が異なる部分があることをご了承ください。

今日はがっつり観光、体力との勝負だ。多くの人が台北で「故宮博物院」に行くと思うけど、実はあんまりアクセスがよくない。タクシーを使うことになるので、ついでに途中にある「忠烈祠」に立ちよるコースにした。そして最後は故宮から近い「士林夜市」で晩ご飯。さあ、張り切っていってみよう。

英霊約33万柱を祀る「忠烈祠」へ

まずはMRTで「圓山」駅へ。出口1からタクシーで約5分行くと「忠烈祠(ヂョンリェツー)」である。圓山駅から故宮博物院に行く途中にあって、バスもあるけれど多くの人はタクシーを利用する。タクシーの運転手さんに行先を書いて見せたら「オケー!」って笑ってた。漢字の国は通じるものがある。

ここはガイドブックで有名な「圓山飯店」のすぐ近所でもある。辛亥革命や抗日戦争で亡くなった英霊、約33万柱を祀る祠なのだそうだ。政治的な背景は違うけど、日本で言うと靖国神社みたいな場所になるのかもしれない。

ここの名物は、なんと言っても「衛兵さんの交代式」だろう。

アーチ状のエントランスに二人、向かい合うように立つ兵士。ずっと建物の奥へ続く参道の向こうにも、本殿を守る二人の兵士がいる。彼らはこの暑いのに微動だにせず立っている。イギリスの衛兵さんも動かないけど、彼らも置物のよう。担当係員がたまに汗をふくことはあっても、直立不動。すごい、訓練されている。

台湾の兵隊さんの中でも、ここに立てるのはより選りのエリートだそう。制服の色が、白は海軍、青が空軍、このモスグリーンは陸軍をあらわしていて、1時間ごとに行われる交代の儀式の様子は、観光の目玉となっている。

開門時間 9:00-17:00
衛兵交代は9:00から一時間ごとで、最後は16:40スタート。所要時間は約20分。
敷地内も整備されていてキレイ

中へ入ってみよう。広々として気持ちいい!

一万坪の広大な敷地の中央をつらぬく広場には、行進の跡がくっきり。

緑豊かな庭園には、烈士の像を祀った祠が。

春と秋には、国家元首が政府高官とともにお参りに訪れるほか、台湾を訪問した各国の要人たちも、花束を捧げるそう。

さて、あちこち見ているうちに交代式の時間。本殿近くにいたら、入り口の方へ固まるようにと指示があり、移動。行進自体は、きわめてシンプルな形式で行われるけど、その厳粛なムードとか、一糸乱れぬ歩き方とか、「おぉーう、かっこええ」と見とれてしまう。

また、兵隊さんたち背が高くてがっしりしてて、いい男ぞろいなんだわ、これが(眼福)

何度来ても感動「故宮博物院」

次はいよいよ今回の旅のメイン、「故宮博物院」へ。全く面白くないという人もいるけれど、世界の美術館めぐりがライフワークの私にとってはパラダイス。一生かかっても見終わることのない収蔵品があり、世界の美術館に貸し出しをしながらローテーションしているという。何度行っても新鮮な感動があるのはそのためか。今日も午前中から閉館まで、たっぷり見て回るつもりだ。

正面からの写真はマスト

忠烈祠の前から乗ったタクシーの運転手さん。中国語だと「グーゴン ポォウグゥァン」だけど、発音がちょっと難しいので紙に「故宮」と書いて見せたら、「オケー」と言って扇子を貸してくれた。北京語だからよくわからなかったけど「暑いからこれで涼んで。じきにクーラーがきくよ」って言ってたみたい。

台湾の方々は、ほんと皆さん優しくてあったかい。街角で誰かに道を聞いたら、周囲のおじさんおばさんが寄ってくる。日本の田舎のようなのだ。それだけでこの国が大好きになる。

故宮についた。実際の車回しはこの階段の裏側、地下フロアになるのだが、この階段からの眺めがやはりフォトジェニック。

ちなみに、このクリスマスカラーは台湾のポスト。博物院の中に郵便局があって、このポストから郵便物を出すと、消印が記念になるというわけだ。いいね、こういうサービス。

内部は撮影禁止、作品に集中しよう

残念ながら博物院の内部は、一切撮影禁止のため写真はないが、それはまぁ広くて見るものいっぱいで、頭がくらくらしたと言っておこう。

故宮博物院は2016年12月2日以降、館内での写真撮影、ビデオ撮影を解禁。ただしフラッシュ、モノブロックストロボ、クリップオン(補助光)、自撮り棒、三脚などの撮影機材の使用は禁止。また、展示物前での団体撮影や、金曜と土曜日の夜間延長期間は撮影禁止。

特に有名な翡翠の白菜と、肉の形をした石は特別なケースに入れられ、入場制限つきの部屋で鑑賞する。大陸の方々の強烈なタックルに負けずに前進あるのみである!

ではここで、お宝の有名なものを一部ご紹介!↓↓↓

翠玉白菜 時代/清 長18.7cm、幅9.1cm、厚さ5.07cm

見てみたら、意外と小さくてびっくりした。白菜の大きさを想像していたせいだろう。実際は、手のひらにおさまってしまうくらい。その中に精巧な葉脈などの細工が施されているので、近づいて見ると二度びっくりする。

本来はこういう色が分離した翡翠というのは二級品なのだそうだが、それを利用し、さらにキリギリスとイナゴを掘り出してしまった、細工師の腕に感服する。

肉形石 時代/清 高5.73cm、幅6.6cm、厚さ5.3cm

白菜と同じ展示室にある、こちらも小さな肉形の石。ちょうど角煮一個ぶんくらいだろうか。ジューシーな味わいが口の中に広がりそうな、何ともいえない美味しそうな艶だ。

この質感は、加工を繰り返し出されたもので、石の層を利用して作られた、センスあふれる傑作。鉱物を食品に作り上げる、発想のユニークさが日本にはないところだと思った。

故宮ランチは「府城晶華餐廳」で

ランチはいったん外へ出て(半券で再入場可能)、敷地内にあるレストランへ。ここらは商業施設が少ないので、多くの人が博物院内で食べるか弁当持込になる。

私が行ったのは、出て右側の「故宮晶華」という少々お高い台湾料理レストラン……の、地下にある安い食堂「府城晶華餐廳」(爆)一人で中華のコースはきついもの。小吃(軽いメニュー)が気軽でヨロシ♪

入って右側の階段から地下へ。けっこうおしゃれで広い店内、日曜の昼間なのに半分くらいしか埋まってなかった。台南小吃の店らしく、初日に行った「度小月」と同じく、担仔麺の調理台が置いてある。

まずはビール。暑いのよ、アタシ。今回は「台湾啤酒(タイワンピージゥー)」が出た。昔はこの白い缶が台湾ビールの代表だったが、今は緑の缶の「金牌啤酒(チンパイピージゥー)」が勢力を伸ばしているのだそうだ。

そっちも飲んでみたが、やや白缶の方が苦味があって辛口、緑缶の方がすっきり爽快。どちらも日本のビールと比べて薄い感じなので、そのまま楽しむには張り合いがないけど、食事との相性はいい。特にこってりした炒め物や、癖のある香辛料などには、ばっちり。ちゃんとその国の食事文化と酒はシンクロするんだな。

この他、都心部のコンビニではライチビールなども見かけた。 レストランでは、サーバーから生ビールを提供する店もあるらしく、台湾のビール市場も急速に変わってきているようだ。

香腸、棺材板、豆花を満喫

ビールのお供は「香腸(シャンチアョン)」いわゆる台湾ソーセージ。ここのは焼いた後、ちょっとだけ醤油で煮てあるそうな。

向こうに見えるのは、生にんにくのスライス。これをのせてパクッ。口の中にジューシーな肉の脂と、花椒の香り、そして香ばしい醤油の薫味。最後に、にんにくの香りがふわ~っと。

日本の台湾料理屋でも食べるけど、それより柔らかくて美味しかった。カジュアルな食堂だと思って期待していなかったぶん、うれしい誤算。ただしドイツソーセージをイメージしていると、甘さや肉のフニャ感に戸惑うので、全く別物と覚悟して。

そして、これですわ、奥さん(誰)世界どこでも見たことない、ネオ台湾料理「棺材板(クージェーベン←と、ウェイターさんが言っていた)」。揚げた食パンをくりぬいて、ホワイトシチューを詰めた料理なのだが、どう見ても西洋風?でも、台湾発祥で若者の間でウケている一品なのだそうだ。

伝統料理もいいけれど、いまの台湾を知る意味ではいいかとチャレンジしてみた。味はまぁ、見たまんまというか給食みたいな感じ(笑)サクサクして食感はいいけど、もともと揚げ物が苦手で、牛乳系も好きでないので、半分でギブアップ。

デザート。豆花(ドゥファー)はシンプルに蜜だけのプレーン。間違いない、いつ食べても美味しい定番。

敷地内のちいさいカフェ「富春居」

展示を見終わった後、敷地内のカフェでひと息。「富春居」はドリアやカレーなど、軽食も充実した静かな店で、工夫茶の種類が多い。奥に広がる構造のようだが、外が見える入り口付近の席に座った。(外のテラスはちょっと暑くて勘弁w)

店の名前は元の時代の画家、黄公望の「富春山居図巻」からで、店の壁にも描かれている。ギフトショップも併設され、いかにもギャラリーカフェにふさわしい雰囲気だ。

せっかくだから、ここでしか飲めないものをと「鮮桔茶」をオーダー。マレーシアでも飲み物に使われていた橘子(金柑の一種でシークワーサーに近いかんきつ類)をエードにしたドリンクで、ホットとアイスが選べる。

冷房が効いた室内なので、ホットをチョイス。思いがけず大きなピッチャーで来て、たっぷりといただけた。ピッチャーに浮いている赤い実は、酸梅。口に含むと、鼻腔を駆け抜けるようにシトラス系の芳香が広がり、きりっとした酸味に疲れが吹っ飛ぶ。今回の旅では、ここでしか見かけなかったメニューなので、オリジナルかもしれない。

台北最大「士林夜市」で食べ歩き

故宮博物院を出た後は、タクシーで「士林夜市(スィーリンイエスィー)」へ。台湾では家で食事をするより、こういった屋台で買い食いをする人が多いようで、あちこちの街で屋台が集合した夜市が開かれる。しかも毎日だ。

まるで迷路、こりゃ~地図が必要

私がやってきたのは、台北でいちばん規模が大きい夜市で、そのぶん観光化されていてマニアック度は低い。気をつけなければいけないのは、士林というMRTの駅があるけど、そこで行われていないことだ。ややこしいが、隣駅の「剣潭駅」で降りて、人の波にダイブすべし。

行ったのは7時ごろだが、けっこうな混雑。あやしげな看板。小道を入っていくと、そこにもまた屋台が並ぶ。

もう、この時点で熱気と食べ物の匂いでクラクラしてしまう。屋台の食べ物以外にも、きれいなケーキ屋さんやPC部品の店、アディダスショップなど、入り乱れてカオス状態!

夜市名物「臭豆腐」のかほり

そこへ出た!「臭豆腐(チェドウフー)」!台湾人でも嫌いな人がいる、匂いの強烈な豆腐発酵食品。揚げて食べるのが一般的なようで、あちこちの屋台の大鍋でジャージャーやってる。

しかし、ほんっと臭いのよん、これ。食べたら美味しいのは知ってるんだけど、すすんで食べるかと言われると…。うーん、どうしようかと思ったけど今回はパス。

こっちはイカ?炭が起こしてあって、お客さんが海鮮を焼いて食べる式レストラン。美味しそうなカニとかうちわ海老みたいなのがあった。値段もビックリするほど安い。今度、誰かと来たときに行ってみたい。

大好物!プルプル「愛玉」

さて、このカエルちゃん、なんでしょう。蛙肉?確かに食べるけど、ブブー(不正解)答えはこれ。この台湾レモンの浮かんだ、「愛玉(オーギョー)」という飲み物だ。愛玉はもともと無骨な木の実。それを割って中身を煮ると、中に寒天質があって、プルプルのゼリーになる。それをストローでチュルルと飲むのだ。

愛玉自身には味がないため、たいていレモン味がついていて、そこに各種トッピングを追加できる。注文したら、お姉さんが下の台から氷を出してコップに詰め、上から愛玉を注いでくれた。薄い甘酸っぱい味。

ちなみにカエルちゃんマークは、カエルの卵に感触が似てるからだそうだ。うーむ・・・

絶品「水煎包」は、ぜひ焼きたてを

こっちは「水煎包(シェンジェンバオ)」。日本では「焼き小龍包」とも言われるけど、ぜんぜん皮が違う。もちっとした小さな豚まんを、水を張った餃子鍋で焼き付けたもの。

フカフカの上部と、カリカリの底の部分が同居する、なんとも言えないデリーシャスな一品。似たやつに「胡椒餅」というのがあるけど、それは筒型の窯でパリパリに焼く、パイに近い豚まん系。

とりあえず、市場でこの鍋を見つけたら買ってみるといい。値段が安いし、日本人の口に合う。ここのは一個12元(約30円)!2個買って、歩きながら食べた。うまい!まじうまい!汁が飛び出るくらいジューシーで、ねぎと菜っ葉の甘みが最高。コンビニでビール買っておけばよかった。

カットフルーツがまたうまい

グアバ屋台のお兄ちゃん。その場でカットして、酢シロップと梅粉(生グアバにはつきもの)を混ぜ混ぜしてくれた。

この他、フルーツはあちこちに屋台が出ている。盛り合わせになってるのもあって、どこもカットして売ってくれるので、旅行者にも便利。トマトも一緒に売ってるのが台湾らしいところだ。

この時期はまさにフルーツ天国で、マンゴー、パパイヤ、すいか、ドリアン、ライチ、グアバ、パッションフルーツ、あらゆるものが並ぶ。ただし、私の大好きなマンゴスチンは、台湾では生産されていなくて、タイからの輸入品ばかりだった。

家楽福(カルフール)で買い出し

台北のスーパーは地元系の「頂好(ウェルカム)」や「全聯福利中心(ピーエックス)」がよく目につくが、外資系の「家楽福(カルフール)」もあちこちにある。今回は芝山のカルフールへ行ってみた。

家楽福(カルフール)芝山店へ

「剣潭駅」からMRTに乗り、「芝山駅」へ。日本でもおなじみのスーパーマーケット、「カルフール(家福楽)」にやってきた。駅から進行方向に向かって3分くらい。ここは24時間営業で、旅行者にはとても助かる。

しかし朝からのハードスケジュールで、体はボロボロなのに、スーパーに行くとアドレナリンが分泌するのはなぜか(笑)特に食料品売り場!なにこれ!なにこれ!ドリアン69元!えええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇ~?

そして、赤ちゃんの頭ほどもある愛文マンゴー(安いペリカンマンゴーじゃない、甘くて美味しい方)59元!うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~~!!!(うるさい)

季節の美味、愛文マンゴーを購入

ということで、速攻お買い上げ。ホテルに持ち帰り、冷蔵庫にイン!ちゃんと冷蔵庫のついてるホテルで良かった。ただしドリアンは匂いの問題で断念。そんなに匂いしなかったけどなぁ~

はいこれ。比較のためにボールペンを並べてみたけど、手に乗らないくらい大きいの、わかるかな。日本に売ってるマンゴーって小さかったんだね。

でも生活雑貨はあんまり日本と変わらない値段だった。というより、シャンプーからお菓子からラーメンから、日本製品ばーっかり!香港でもそうだったけど、何にもお土産が買えないよ~(涙)

仕方がないので、ぷしゅ(おい)旧式の台湾ビアで。つまみはさっき屋台で買ったグアバちゃん。甘酸っぱいタレがなくても、十分いける甘み。サクサクとしてるけど、果肉は柔らかい。西洋ナシにちょっと似ているかも。皮付きのままだから、食物繊維がたっぷりと摂れそうだ。