漁村で得盛りシーフードランチ

ペコ腹を抱えて港町をめざす

タルシーンで予想外の時間をくった上に、1時間1本のバスを待ったものだから、もはや時刻は1時前。当初の予定ではもう次の予定地、Marsaxlokk(マルサシュロック)でランチのはずだから、当然お腹もすいてくる。

でも、ちょっと我慢。マルサシュロックはマルタで一番大きな港町。しかも漁師風のシーフード料理を出す店が何軒もあると聞けば、途中で挫折するわけにはいかない。

途中で写真のために停車時間がある

タルシーンからマルサシュロックまでは、途中に観光名所のスリーシティーズがあるのだけれど、今回は立ち寄らず車窓からの風景と音声ガイドで楽しむことにして、約30分ほどのバスドライブ。

上は、途中で通過(ご親切に写真休憩あり)した、スリーシティーズの名所、Vittoriosa(ヴィットリオーサ)にある「Fort St. Angelo(聖アンジェロ砦)」。海上の敵から国を守るため、目や耳のレリーフが施され、一種独特なムードだ。

これはバスの運転手さん。基本、この国はドア開けっぱなしで運転するらしい(驚)。「バスのドアを閉める理由を教えてくれ」ということらしいけど、「だったらなぜドアがついているのか」から説明しないといけないので、非常に骨が折れそうだ。

マルタ名物「サボテン」もあちこちに

そしてサボテン。国中(島中)至る所に自生しているマルタサボテン。うちわサボテンの一種だろうか。黄色い可憐な花の後に、赤~紫の実をガンガンつけ(本当にびっしりつく)、それが市場ではフルーツとして出回っている。また、加工してマルタ名物の「バイトラ」というリキュールにもなる。この「バイトラ」は世界でもマルタだけにしかない、非常に変り種の酒である。

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マルタ一の漁港「マルサシュロック」

そうこうしているうち、ようやくマルサシュロックへ。マルタ随一の港と聞いていたけれど、意外と小さい。何しろ大型漁船がないのだ。あるのは、ルツと呼ばれる4~5人乗ったら満員になりそうな小さなボートのみ。

聞けば、マルタの漁師はこの小さな船で波の荒い地中海へ出るそうで、そういう意味では日本の近海漁師と相通ずるものがあるのかもしれない。

ちなみにルツの写真がこちら。独特のブルー&イエローの伝統色で彩られ、帆先に目が描かれているのが特徴。航海の標になるようにとの願いからだそうだ。

シーフード料理の「イル・リッツ」へ

さて、いよいよレストランへ。何軒かお目当てがあったのだけど、その中で一軒だけ営業していたのが「IR RIZZU(イル・リッツ)」。旅のブログなどでも紹介されていたので、悪くはないだろうと入ってみた。

店内はけっこう広い。右手にカウンター。奥に調理場。店のオーナーらしいメリヤスの下着に長靴のオッチャンがホールをウロついているのがいただけないが、取りあえず一人客を告げて席を作ってもらい、昨日から飲みたくて飲めなかったマルタの地ビール「CISK(チスク)」をオーダーした。

マルタの地ビール「チスク」は爽やか味

私の巨大な手(広げたら20cm)でも、外周が半分しかつかめないほど大きなグラス。小びん一本は入っているだろうそのビッググラスを持ち上げ、お初のマルタビアを。

お味はバドワイザーみたいなライト系。暑い日の遅めのランチにはぴったりの軽さなのだが、付き出しとして出された皿の分量にびっくり。マルタ風ブルスケッタというか、パンに野菜マリネのせ+巨大白いんげん+マルタ名物ビッギーラ(豆のペースト)が山盛りでやってきた!そしてカゴ一杯のマルタパン。

普段の私の食欲を知る人が見れば「一食分」と思うほど、勢いの良い盛りだ。たった一杯ビールを頼んだだけなのに。しかし、すでに前菜とメインを頼んでいたので、これは用心して手をつけず放置。その判断が後で私の身を救うことになる。

どでかい!タコのソテーうまうま!

さて、いよいよ料理の登場。笑ってちょうだい、この大きさ(笑)前菜でこれだもの。料理名は「たこのソテー」。しかし日本のたことは大きさが違う。添え物のサラダのトマト、日本の一般的なトマトの大きさで、決してプチではない。また、右側はスダチではなくレモンである。

足の直径から、その原型がどれほどの大きさのたこか、想像しながらフォークをぶすり。うん、やわらかい。お味は、ちょっと濃い目だけど、想像通り。オリーブオイルとにんにく、オレガノと白ワインで調理した、シーフード独特のうまみとコク。

ただし、日本のイタリアンレストランと比べると、いかにも風味が野暮ったい。ここらは、港町の漁師料理ならではのご愛嬌だ。

ここで、CISKをおかわり。おー、今度は瓶で来た。アバウトな店だ(笑)そして、ほぼこの時点でお腹一杯になっているところで、メイン「シーフードリゾット」登場。

さらに山盛りのシーフードリゾットが

写真のムール貝の大きさで判断して欲しい。ざっと日本のリゾットの三人前。メインコース(主菜の一人前)ではなく、スターター(前菜)サイズで頼んだのに。絶対コレ注文間違ってる!(あとで確認したら、やっぱりメインコースになっていた;)

しかし、注文した以上は食べねばなるまい。おもむろにスプーンを持ち、山を切り崩すように、せっせと食べるが…一向に減らない。

ちなみに味は「悪くない」といった程度。薄味のトマトソースであっさり仕上がってはいるが、いかんせん米が柔らかすぎるのだ。うーむ、リゾットがアルデンテでないのはいただけない。フニャッとした米の食感も手伝って、やはり大部分を残してしまった。ただし、マルタでは「Doggie Bagちょうだい」が通用するので、明日か明後日の非常食用に持って帰ることにした。2食くらいはいけそうだ。

シエスタの時間はすべての店が閉まる

食後は港の近辺を散策。しかし目抜き通りといっても店はポツンとしかないし、2時間ほどシエスタの習慣があるため、昼時はクローズしてしまう。

これは港の船着場に出る屋台のマーケットだが、これも昼過ぎには店じまい。日本のクレイジーな働きぶりを見たら、きっとマルタ商人は卒倒してしまうに違いない。

港町の広場と教会。ヴァレッタとはまた違う、庶民的なマルタの風景。

そうしているうちにバスの時間が近づいてきた。スリーマやヴァレッタとはまた趣がちがう、マルタの田舎を目に焼きつけ、最後に港の突堤の方へ行ってみた。とにかく水がきれいなので、近くで見てみたくて。

それがこの写真。港なのに、この透明度。浅く見えているけれど、実際はそこそこ深さがある。魚の種類は何だろう。

これだけいっぱいいるということは、きっと海の栄養が豊富なのだろう。 そりゃシーフードも美味しいのは当たり前だわ。